QPS-SAR8号機「アマテル-Ⅳ」、打上げ成功
2024年8月17日、株式会社QPS研究所の小型SAR衛星「アマテル-Ⅳ」が、米国カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からSpaceX社のロケットファルコン9によって打ち上げられ、予定軌道への投入に成功した。打ち上げから約2時間後、衛星との初交信にも成功し、各機器の正常作動と衛星の健康状態が確認された。
QPS研究所は2005年に福岡で創業された宇宙開発企業で、九州大学での小型人工衛星開発の技術をベースに、国内外で衛星開発やスペースデブリへの取り組みを行ってきた。同社が開発した「QPS-SAR」は、収納性が高く軽量でありながら大型の展開式アンテナを搭載し、従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストで高精細な画像取得が可能だ。現在、商用機3機を運用しており、2027年度には24機、最終的には36機の衛星コンステレーションで平均10分毎の準リアルタイム観測データ提供サービスを目指している。
SARとは合成開口レーダーのことで、電波を使用して地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測できる点が特長だ。アマテル-Ⅳは、日本の民間SAR衛星で最高精細となる46cm分解能(アジマス、グランドレンジともに46cm分解能を意味し、グランドレンジはオフナディア角30度での規定)の画像取得が可能だ。
QPS研究所は今後、衛星の調整を行い、アンテナの展開と初画像の取得を目指す。同社の事業は、創業者たちが宇宙技術を伝承し育成してきた北部九州を中心とする全国25社以上のパートナー企業に支えられており、九州の地より日本ならびに世界の宇宙産業の発展に貢献することを目指している。