ヒラソル・エナジー、泉崎村系統用蓄電所で需給調整市場のネガポジ運用審査に合格
ヒラソル・エナジー株式会社は、福島県西白河郡で同社が所有・運用する「泉崎村系統用蓄電所」において、需給調整市場の「ネガポジ運用」に関する事前審査に合格した。これにより、定格出力1,900kWに対し、その2倍にあたる3,800kWの供出可能量が認められた。本蓄電所では、自社開発の統合制御プラットフォーム「J-EMS」を活用し、同社自身がアグリゲーターとして市場入札から蓄電池制御までを一貫して手掛ける。
需給調整市場において調整力の単価が段階的に引き下げられるなか、設備を追加することなく資産価値を高める手段として運用技術の高度化が求められている。
需給調整市場における蓄電池の調整力(ΔkW)供出方法には、放電によって系統へ電気を送り出す「ポジワット」(逆潮流)と、使う予定だった電気を使わないことで発電と同様の効果を生む「ネガワット」(蓄電所では計画していた充電を抑えること)の2種類がある。放電のみを行う「ポジのみ運用」では入札量の上限が定格放電出力となり、充電中は市場から退出することになるが、「ネガポジ運用」では充電を抑える分(ネガワット)も調整力として供出したうえで放電(ポジワット)まで行う。これにより充電中も市場に留まることが可能となり、入札量は定格出力の最大2倍まで広がる。
なお、今回認められた3,800kWは事前審査における供出可能量(入札量上限)であり、常時この量を入札することを示すものではない。実際の入札量は、時間帯ごとの充電状態と運転計画により変動する。

事前審査の結果とJ-EMSによる制御技術
今回の事前審査では、一次調整力、二次調整力②、三次調整力①、三次調整力②の4商品について、入札量上限となる3,800kWの供出可能量が認められた。あわせて、これら複数の商品へ同時に応札する複合商品の入札も可能となった。各商品の供出可能量は同一の調整領域を共用する内数として登録されるものであり、単純に合算されるものではない。
同社のエネルギーマネジメントプラットフォーム「J-EMS」は、クラウド側で需要と市場価格を高精度に予測して卸電力市場や需給調整市場など複数の市場へ入札し、落札後は市場からの指令に基づいて現場機器を制御する基盤である。3,800kWを供出するためには充電中の蓄電池が充電を停止して放電へ転じる必要があるが、一次調整力では蓄電池自身が周波数の変化を検知して10秒以内(オフラインでの運用では30秒以内)に応動を完了させる必要がある。同社は自社で開発・製造するエッジ機器に充電停止から放電への移行を一つの動作として組み込むことで、現場機器の判断による迅速な制御を実現している。
泉崎村系統用蓄電所の概要
泉崎村系統用蓄電所は、開発から設計・施工・機器調達、一般送配電事業者および広域機関への手続き、EMSの構築、運用開始後の市場入札と蓄電池の制御までを同社グループが一貫して手掛けている。
- 蓄電所名:泉崎村系統用蓄電所
- エリア:東北電力エリア
- 蓄電池定格出力:1,900kW
- 需給調整市場における供出可能量:3,800kW
- 系統連系日:2026年7月21日
- 運用プラットフォーム:J-EMS
- アグリゲーター:ヒラソル・エナジー株式会社
- 設計・施工・機器調達:ヒラソル電設株式会社
今後の展開
ヒラソル・エナジー株式会社は、今回確立したネガポジ運用の知見を運用する他の蓄電所にも順次展開し、入札機会の拡大と収益の安定化につなげていく方針だ。今後も「J-EMS」を活用した運用技術の高度化を通じて、蓄電所の資産価値向上と電力系統の安定化に貢献していくとしている。
同社の概要は以下の通り。
- 社名:ヒラソル・エナジー株式会社
- 本社所在地:東京都文京区湯島4-1-16
- 代表取締役:李 旻
- 事業内容:系統用蓄電所の開発・運用、既設太陽光発電所の長期活用「百年ソーラー®︎」、FIP転換・蓄電池併設、DERの統合制御プラットフォーム「J-EMS」の開発
- 設立:2017年2月21日
- HP:https://j-ems.co.jp/
本記事はヒラソル・エナジー株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



