Dellows News

JISDA、ウクライナ調査に基づくドローン戦時代の戦術医療レポートを公開

安全保障分野の研究開発を手がける防衛スタートアップのJISDA株式会社は、ウクライナでの現地調査を踏まえた報告書「前線知レポート vol.2 ウクライナから学ぶ ドローン戦時代の戦術医療」を公開した。創業チームが約3年間にわたり蓄積してきた知見をもとに、無人機の導入が負傷者の救護や搬送に与える影響と、日本の防衛への示唆をまとめている。全文は同社のウェブサイト(https://www.jisda.jp/files/JISDA_report02.pdf)で閲覧できる。

ウクライナでの戦闘では、FPVドローンをはじめとする各種無人機の普及によって前線での移動や車両の停車、物資の集積などが発見されやすくなり、負傷者の救護や搬送にも継続的な危険が伴うようになっている。衛生兵が負傷者のもとへ到達できず、後方の医療施設への搬送が遅延する状況が生じるなか、負傷直後の処置から後方医療へ接続するまでの時間をいかに支えるかが重要視されている。

JISDAは2026年6月、衆議院第一議員会館においてウクライナの前線医療関係者を招いた勉強会を開催しており、今回の報告書はその場でも配布された。報告書では、戦術医療を隊員の生命保護に加え、部隊の経験や練度、継戦能力を維持するための中核的機能と位置付け、自己救護・相互救護や状態維持、遠隔支援、無人補給を一体的に整備する必要性を提示している。

報告書が提示する救命体制の主な論点

報告書では、TCCC(戦術的戦傷救護)やMARCHの基本的な考え方を踏まえ、爆傷・破片創・熱傷を伴う複合的な損傷への対応や、衛生兵が接触できない状況での対応策などを整理している。主な論点として以下の6点を挙げている。

  • 自己救護・相互救護を全隊員が実行できる能力として整えること(実技教育や反復訓練、IFAKの構成・携行・補充の検討)
  • 複合的な戦傷と後送の遅延を前提に、訓練と支援体制を設計すること
  • 遠隔支援やAIの導入を、隊員の認知負荷を抑える観点から検討すること
  • 無人補給・無人搬送を、救命を支える機能として位置付けること(ドローンやUGVによる輸送と運用設計)
  • 生体データを活用し、隊員の身体・認知パフォーマンスを支えること
  • 医療記録と証拠の保全を、現場から接続できる体制を整えること

JISDAの代表取締役社長である國井翔太氏は、無人化が進む時代だからこそ人間を守る課題に向き合う必要があるとし、「任務の達成に必要な能力を整えると同時に、それを担う人の負担を軽減し、負傷した際には救護や医療につながる備えを整える。その責任を、教育、装備、補給、支援体制の設計に具体的に反映していくことが重要だと考えています」とコメントしている。

日本の防衛・防災への示唆と技術開発

報告書では、移動経路や輸送手段が限られる日本の南西方面や島嶼部での事象に対しても、ウクライナの教訓を踏まえた体制具体化の重要性を指摘している。

また、道路寸断や集落孤立、通信障害が発生する大規模災害時への応用も見込まれる。自己救護・相互救護の教育、遠隔医療支援、無人機による資材輸送、保温や状態把握の技術などは防災・災害医療の分野でも活用が考えられ、医療機器、通信、ロボティクス、AI、センサー、保温・保護材料、教育訓練、データ管理など幅広い産業が関わる余地があるとしている。

なお、現地調査で得た具体的な手法や装備の仕様、運用上の詳細については、情報保全の観点から公開範囲を限定している。

JISDA株式会社の概要と問い合わせ先

JISDA株式会社(Japan Integrated Security Design Agency/日本技術安全保障戦略機構)は、安全保障分野の研究開発およびインテグレーションに取り組む防衛スタートアップ企業である。

  • 所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目7-12 サピアタワー8F
  • 代表者:代表取締役社長 國井翔太
  • URL:https://jisda.jp/
  • E-mail:contact@jisda.jp

本記事はJISDA株式会社の発表をもとに作成。

アクセスランキング

今日

1週間