自動車整備業界の危機、若手不足で廃業急増
自動車整備事業者の市場からの退場が過去最多のペースで進んでいる。株式会社帝国データバンクの調査によると、2024年7月までに倒産が27件、休廃業・解散が271件の計298件発生し、年間最多となった2020年の418件を大きく上回る勢いだという。
休廃業・解散が増加している背景には、深刻な人手不足や後継者難、経営者の高齢化問題に加え、自動車の電動化・電子化の流れがある。2022年度の自動車整備士の有効求人倍率は5.02倍で、2011年度から4倍以上に上昇している。また、全国の自動車整備事業者約1万7400社の経営者の57.0%が60歳以上で、後継者不在率は59.7%に上る。
自動車整備業界は車検・定期点検により安定的な需要があるものの、競争相手は数多い。さらに、自動車のコンピュータ制御の進歩に伴い、2021年10月からは「OBD診断」が義務化されるなど、電子化への対応が必要となっている。ノウハウ、新たな設備の導入、人材育成が求められるため、代表が高齢で後継者がいなかったり、小規模事業者であったりする場合は対応が難しいケースが多く、事業継続を断念する動きが出ているという。
今後も、町の整備工場を中心とした自動車整備事業者の休廃業・解散は増加し続ける可能性が高く、若年層の整備士の確保、育成が急務となっている。自動車整備業界が直面する課題を解決し、持続的な発展を遂げるためには、業界全体で取り組む必要があるだろう。