国内景気3カ月連続で改善、インフラ整備や防災工事が寄与
株式会社帝国データバンクが発表した2024年8月の国内景気動向調査によると、9月の景気DIは前月比0.3ポイント増の44.6となり、3カ月連続で改善した。インフラ整備の工事拡大や外出機会の増加などにより、国内景気は上向き傾向が続いている。
業界別では、10業界中7業界で改善し、『建設』『サービス』などがけん引役となった。インフラや防災・災害復旧の工事需要の拡大、2度の3連休によるレジャー関連の回復がプラス要因だった。一方、『小売』など個人消費関連は物価高騰の影響で低調な推移が続いている。
地域別では、10地域中9地域が改善し、『東北』『東海』などが上向いた。公共工事やレジャー需要がプラスに働いたが、猛暑が続いた地域では秋冬需要が低調だった。
規模別では、2カ月ぶりに「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって改善。特に「中小企業」は不動産関連が好調で、「小規模企業」では『卸売』が顕著に改善した。
今後の景気は、実質賃金の上昇や観光産業の回復、DXの推進、GX政策の拡大などがプラス要因となる一方、物流コストの上昇やインフレの進行、家計の節約志向などが下振れ材料となる。ただ、個人消費や企業の設備投資などに支えられ、底堅く推移していくとみられている。
個人消費の動向に関しては、行楽シーズンで宿泊や娯楽に対する消費は上向いたものの、猛暑関連需要のピークアウトや食料品・日用品の消費悪化により、個人消費DIは前月比0.2ポイント増の43.6にとどまった。企業からは「消費者の節約志向で売り上げ自体が伸びていない」「涼しくならず衣替えがスムーズに進まない」といった声が聞かれ、物価高騰の長期化による消費マインドの低下が懸念材料となっている。