emolと東大、アプリの認知行動療法プログラムで労働者の抑うつ改善効果を確認
emol株式会社は、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座との共同研究として、メンタルヘルスケアアプリ「emol」で提供する「働く人のための認知行動療法セルフケアプログラム」の効果を検証する無作為化比較試験を実施しました。その結果、労働者の抑うつ症状(PHQ-9)および心理的ストレス反応(K6)が統計的に有意に改善し、効果が6か月後まで持続することが確認されました。本成果は、第26回日本認知療法・認知行動療法学会にてポスター発表される予定です。
研究の概要と検証方法
研究では、インターネット調査会社を通じて募集した成人の常勤労働者1,090名を、プログラム利用群545名と対照群545名に1対1で無作為に割り付けて効果を検証しました。利用群には初回調査後から10週間でのプログラム利用を依頼し、両群に対して初回・3か月後・6か月後の3時点で調査を実施しています。解析は混合効果モデルを用いたIntention-to-treat(ITT)解析により行われ、効果量(Cohen’s d)が算出されました。
提供されたプログラムは全6回構成で、マンガやアニメーション動画による1回約10分の「学習セッション」、学んだ内容に基づくワークを行う「実践セッション」、日々の実践を支援する「実践継続セッション」で構成されています。キャラクターのガイドに沿って、ストレスの仕組みや行動活性化、認知再構成、問題解決技法などのスキルを学ぶ設計となっています。

抑うつ症状と心理的ストレス反応の改善効果

解析の結果、抑うつ症状(PHQ-9)は追跡期間全体(P = 0.02)および6か月後時点(効果量 d = −0.15、P = 0.01)で対照群と比較して統計的に有意な改善が確認されました。心理的ストレス反応(K6)についても、追跡期間全体(P = 0.01)、3か月後(d = −0.14、P = 0.02)および6か月後(d = −0.17、P = 0.01)の各時点で有意な改善がみられました。

多くのセルフケアプログラムでは時間の経過に伴う効果の減弱が課題とされますが、本プログラムでは6か月後時点の効果量が最も大きく、効果の持続が確認されました。また、軽度以上の心理的ストレスを有する層(K6が5点以上)を対象としたサブグループ解析では、6か月後の効果量がPHQ-9でd = −0.24(P = 0.03)、K6でd = −0.27(P = 0.01)となり、全体と比べてより大きな改善が示されました。
完全自助型での受容性と今後の展開
専門家によるガイドのない完全自助型でありながら、利用者の53.0%が全セッションを完遂しました。アンケート調査では、72.0%が「心の健康を保つのに役立つ」、77.9%が「プログラムはわかりやすい」と回答し、86.4%が利用による精神的症状の出現を否定しています。また、参加者の55.6%が「認知行動療法を初めて知った」と回答しており、専門的ケアに接点のなかった層への普及が示唆されました。
東京都豊島区に拠点を置くemol株式会社(代表取締役:千頭沙織)は、本プログラムを個人向けのemolアプリに加え、企業の従業員支援プログラム(emol for employee)を通じた法人向けにも展開し、職域におけるメンタルヘルス一次予防への貢献を目指すとしています。また、東京大学デジタルメンタルヘルス講座との共同研究を継続し、研究成果の論文化およびエビデンスの構築を進める方針です。
学会発表および企業概要

学会発表の詳細は以下の通りです。
- 学会名:第26回日本認知療法・認知行動療法学会
- 会期:2026年9月11日(金)〜9月13日(日)
- 会場:東北学院大学五橋キャンパス(仙台)
- 発表形式:ポスター発表
- 演題名:労働者を対象とした完全自助型インターネット認知行動アプリの抑うつ症状改善効果:無作為化比較試験
emol株式会社の概要は以下の通りです。
- 会社名: emol株式会社
- 代表者: 代表取締役 CEO 千頭沙織
- 設立日: 2019年3月18日
- URL: https://emol.jp/
- 事業内容: 精神疾患・メンタルヘルス関連サービス開発
本記事はemol株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



