「フリーランス新法」認知度低く、建設業界の対応遅れが明らかに
労災センター共済会が、一人親方に発注をしている建設事業者102名を対象に、2024年11月に施行される「フリーランス・事業間取引適正化等法」(通称:フリーランス新法)の認知度や対応状況について実態調査を行った。
調査の結果、フリーランス新法を「知らない」と回答した事業者は70.6%に上り、認知度の低さが浮き彫りになった。一方で、新法を認知している事業者の73.3%は、すでに社内での準備を始めていると回答。具体的な準備内容としては、「発注時の手順やルールの見直し」が77.3%で最多となった。
また、約7割の事業者が、これまで一人親方に業務委託する際に、委託内容や報酬の支払いなどに関する契約内容が明文化されず、「口約束」が行われたことがあると回答。新法の施行により、一人親方への業務発注に関わる業務負担が増えると考える事業者も7割に上った。
しかし、新法を認知している事業者の83.3%は、「新法が業務委託上のトラブルを避け、健全な契約関係を維持するために重要」だと評価。新法への期待の高さがうかがえる結果となった。
労災センター共済会は、今回の調査結果を受けて、「多くの建設事業者が新法に関する認知度が低く、施行に向けた準備が遅れていることが明らかになった」と指摘。「新法施行が迫る中、早急に準備を進める必要がある」と呼びかけている。
フリーランス新法は、フリーランスと発注事業者間の取引の適正化や就業環境の整備などを目的とした法律だ。事業者には、契約書の内容や募集情報の表示の見直し、ハラスメントへの対応など、新たな義務が課せられることになる。建設業界においても、一人親方との取引が多いことから、新法への対応が急務となっている。