Bulwark Dynamicsが約10.5億円を調達 尾道造船と無人揚陸艇の生産で協業
無人揚陸艇を開発する米国のBulwark Dynamicsは、シードラウンドの初回クローズにおいて680万ドル(約10.5億円)の資金調達を実施しました。あわせて同社は、尾道造船株式会社と戦略的協業に関する基本合意書を締結し、無人揚陸艇「Caravel」シリーズの日米生産体制の構築に向けた取り組みを開始しました。調達した資金は、量産機の開発や検証、日米での生産体制立ち上げなどに充てられる予定です。
日米投資家からの資金調達と今後の使途
今回のシードラウンドはローリングクローズ形式で実施され、尾道造船株式会社のほか、SBI US Gateway Fund LP、Archetype Ventures、Nēnē Venturesなどの日米投資家が参加しました。
調達した資金は、無人揚陸艇「Caravel」シリーズ量産機の開発・検証をはじめ、日米での生産体制の立ち上げや、実運用を想定した環境での検証に充当されます。同社は今後、量産機の開発・検証と運用フィードバックのサイクルを加速させるとともに、日米両拠点のエンジニアリング・試験運用・事業開発の各部門で採用を強化する方針です。

日本の造船技術と連携する背景
Bulwark Dynamicsは、日本出身の2人によって2025年に米国で創業されたデュアルユース防衛スタートアップです。同社は、危険でインフラが整備されていない島嶼・沿岸部への物資輸送を担う無人揚陸艇や運用ソフトウェアを開発しており、安全保障・防衛用途に加えて災害支援や離島物流、エネルギー分野での活用も視野に入れています。

同社はCaravelの日本での船体建造に向けて体制構築を進めています。日本国内で製造、運用、修理を行うことで、ライフサイクル全体を運用の現場に近い場所で完結させ、稼働率とコスト効率の両面で優位に立てると判断しました。日米両政府による造船分野の協力や、日本政府が策定した2035年までに建造能力を現在の約2倍に引き上げる「造船業再生ロードマップ」などの政策動向とも方向性を一にし、国内に「量産型無人艇」という新たな製品分野を立ち上げることを目指しています。
尾道造船との戦略的協業
1943年創業の尾道造船株式会社は、ばら積み貨物船やタンカー、RORO船、フェリーなど700隻を超える建造実績を持ち、69,500G/Tの船台1本と最大パナマックス船型が入渠可能な2本の修繕ドックを備えています。また、グループ会社には佐伯重工業があります。

今回の提携により、尾道造船株式会社が船体建造を担う体制について両社で協議が進められます。さらに、既存の造船所の活用だけでなく、無人艇の量産に特化した新たな生産拠点の整備についても協議が行われています。尾道造船株式会社の代表取締役社長である中部隆は、無人艇への取り組みを通じて省力化に関する知見や技術を獲得し、海運業界の人材不足の抜本的な解決に貢献したいとの考えを示しています。
無人揚陸艇「Caravel」の特徴と開発状況

「Caravel」は、有事や災害時に港やクレーン、岸壁のない浜辺へ直接乗り上げて荷降ろしができるようゼロから設計された無人揚陸艇です。1人のオペレーターによる複数隻運用や、GPS妨害環境下での自律航行を想定しています。

2026年2月には、米国で全長15フィート(約5m)の試作機を用いた海上実証が行われ、無人航行から上陸、荷下ろし、離岸までの一連の流れを人的介入なしで実証しました。現在は、20ftコンテナを積載可能な35フィート型の開発も進められており、主要コンポーネントを共通化することで量産に適した設計が採用されています。
Bulwark Dynamicsの概要
- 会社名: Bulwark Dynamics, Inc.
- 所在地: カリフォルニア州メンローパーク(シリコンバレー)
- 代表者: Nhat Lieu(ニャット・リュウ)
- 設立: 2025年5月
- 事業内容: 無人揚陸艇の開発・製造
- 日本法人: Bulwark Dynamics Japan合同会社(2026年2月設立 / 東京都渋谷区 / 代表:椎名 悠太)
- ウェブサイト: bulwarkdynamics.com
本記事はBulwark Dynamicsの発表をもとに作成されています。
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