中小企業の賃上げ実施は6割超も約6割が経営負担フォーバルGDXリサーチ研究所調査
フォーバル GDXリサーチ研究所は、全国の中小企業経営者を対象に実施した「2026年度第1回 中小企業経営実態調査」の結果を発表しました。調査によると、賃上げを実施している中小企業は63.3%に上る一方、実施企業の57.8%が経営上の負担を感じている実態が浮き彫りとなりました。また、国の「賃上げ促進税制」を「知らない」と回答した企業が約半数に達するなど、支援策の認知にも課題が見られます。
賃上げ実施は63.3%で推移、理由は人材定着が最多
フォーバル GDXリサーチ研究所調べによると、賃上げを実施している企業は63.3%でした。前回調査の66.3%から3.0ポイント低下したものの、6割超の企業が賃上げを実施しています。一方で、賃上げを「実施していない」企業は36.7%で、未実施の理由は「売上や利益が伸びていないため」が39.7%で最多となり、「賃上げの必要性を感じていないため」が23.1%、「人件費の増加が経営を圧迫するため」が19.9%で続きました。
賃上げを実施する理由としては、「従業員の定着率や満足度を高めるため」が73.9%と突出しており、「社会的要請や業界の流れに対応するため」が36.8%となりました。「業績が改善したため」は11.4%にとどまり、業績の余力だけでなく人材確保や雇用維持のために賃上げを進めている状況がうかがえます。
賃上げ率と効果の実態、原資確保への課題

賃上げ率については、1~4%未満が48.4%、4%以上は31.4%にとどまりました。日本労働組合総連合会の2026春闘最終集計(全体5.01%・中小4.69%)や、厚生労働省が公表した最低賃金改定目安(全国加重平均で55円・4.9%引き上げ)などの水準と比較してギャップが生じている状況です。



賃上げの効果については、47.5%が「効果があった」と回答した一方、「どちらともいえない」「特に効果は感じていない」の合計も52.6%に上りました。具体的な効果は「従業員のモチベーションが向上した」が83.1%で最も多く、「離職率が低下した」が21.6%、「採用がしやすくなった」が13.5%、「生産性が向上した」が11.9%でした。

賃上げに必要な原資については、「十分に確保できている」(12.7%)と「ある程度は確保できている」(46.9%)を合わせて約6割が確保できていると回答したものの、「十分に確保できている」は1割程度でした。確保の方法は「売上拡大による利益の確保」が63.6%、「製品・サービスへの価格転嫁(値上げ)」が30.3%、「業務効率化・生産性向上によるコスト削減」が17.9%となっています。

実施企業の約6割が経営負担を実感、税制認知は半数にとどまる



賃上げを実施している企業のうち、経営上の負担について「大きな負担になっている」(12.1%)と「やや負担になっている」(45.7%)を合わせた57.8%が負担を感じていると回答しました。具体的な影響としては、「人件費負担の増加」が89.9%、「営業利益の減少」が74.9%、「広告費や設備投資など他予算への圧迫」が43.8%に上ります。

さらに、公的支援策である賃上げ促進税制については「制度を知らない」が48.5%と約半数を占め、「活用している」は9.2%にとどまりました。
フォーバル GDXリサーチ研究所所長の平良学氏は、持続的な賃上げに向けては本業で稼ぐ力を高めることに加え、公的支援の認知や活用を広げることが欠かせないと指摘しています。
調査の概要
- 調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
- 調査期間:2026年6月1日~2026年6月30日
- 調査対象者:全国の中小企業経営者
- 調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
- 有効回答数:1,653人
本記事はフォーバル GDXリサーチ研究所の発表をもとに作成しました。また、記事内では厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」(2026年7月28日公表)および連合「2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について」(2026年7月3日公表)の公表情報を参照しています。
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