マレリとマイクロチップ、オープン規格ASA-MLによる車載映像伝送技術を発表
自動車部品サプライヤーのマレリと半導体メーカーのMicrochip Technology(以下、マイクロチップ)は、車載映像伝送向けオープン標準規格「ASA Motion Link(ASA-ML)」を介して車載ディスプレイへ直接映像コンテンツをストリーミングする新たなソリューションを発表した。両社は共同でデモンストレーション・システムを開発し、ディスプレイ・アーキテクチャの簡素化やシステム・コストの最適化とともに、ソフトウェア定義車両(SDV)への移行支援を目指す。
ASA Motion Linkは、自動車向け映像伝送およびSerDes(Serializer/Deserializer)通信のためのオープン標準規格である。自動車メーカーやTier 1サプライヤー、半導体企業で構成される国際コンソーシアム「Automotive SerDes Alliance(ASA)」によって策定されている。
この規格は、複数ベンダーの製品間で安全かつ高速な映像・グラフィックス伝送を可能にし、従来の独自規格による映像伝送技術に代わる選択肢を提供する。ASAの創設メンバーであるマイクロチップは、すでに実証しているカメラ向けソリューションに加え、対応範囲をディスプレイ接続へと拡大している。
集中型コンピューティングに対応する共同デモシステム
共同デモでは、車両の中央コンピュータで生成されたグラフィックスや映像コンテンツを、マイクロチップの「VS7000 ASA-MLチップセット」で処理し、高速通信リンクを通じて伝送する。
マレリはディスプレイ側への実装を進め、ASA-MLデシリアライザの設定および最適化を行うことで、標準化された映像ストリームをディスプレイ側で直接デコードできるようにした。これにより、カメラ映像、ナビゲーション・マップ、インフォテインメント用グラフィックス、車両制御インターフェースなどのコンテンツを受信・同期・表示可能にし、ディスプレイ側の電子アーキテクチャを簡素化できるとしている。
マレリのエレクトロニクス事業部プレジデントであるケレイ・シェン氏は、SDVへの移行によりオープンで柔軟な電子アーキテクチャの需要が高まっているとし、今回の協業がオープン標準によるイノベーション加速と相互運用性の実現を示すものだと述べている。また、マイクロチップのコミュニケーション事業部副社長であるケビン・ソウ氏は、ASA Motion Linkが安全で拡張性に優れた接続を提供し、システム統合を簡素化できることを示しているとコメントしている。
ASA Motion Link技術の主な特長
- オープンな相互運用性:複数ベンダーのコックピット・システムとディスプレイ間でシームレスな接続を実現
- サプライヤー選択の自由度:自動車業界全体でサポートされるオープン・プロトコル仕様を採用
- セキュリティ:通信チャネルに組み込まれたリンク層認証および暗号化
- データ伝送性能:ロスレス通信と高い耐電磁ノイズ性能
- スケーラビリティ:最大16Gbpsのデータレートに対応
- 効率の最適化:TDD(Time Division Duplex)機能と簡素化されたFEC(Forward Error Correction)搭載による低消費電力化
- 将来性:イーサネット中心の次世代車両アーキテクチャへの移行を支援
発表各社の概要
- マレリ:全世界に約40,000人の従業員を擁し、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカに150以上の施設と研究開発センターを持つモビリティ・テクノロジー・サプライヤー
- Microchip Technology:米国アリゾナ州チャンドラーに本社を置き、産業機器、自動車、コンシューマー、航空宇宙・防衛、通信、コンピューティング向けに包括的なシステム・ソリューションを提供する半導体サプライヤー(NASDAQ: MCHP)
本記事はマレリおよびMicrochip Technologyの発表をもとに作成。

ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



