クラウドシエンとAIアシュアランス、自治体AIの利用を検証するPoC成果を公開
株式会社クラウドシエンと株式会社AIアシュアランスは、自治体業務でのAI利用における安全性を確認する3件の技術検証(PoC)と、これらを一連の業務としてつなぐ統合PoCの成果を公開しました。あわせて、広島AIプロセスの行動規範と各PoCの業務条件や検証証拠を結ぶ対応表(マッピング)も公表しています。本取り組みは、2026年9月18日に発表された両社の戦略的パートナーシップに基づく具体的な成果です。

自治体業務におけるAI利用の3局面を検証
今回の検証では架空・合成データを用い、自治体業務におけるAI利用の3つの局面を対象としました。

1つ目の「AI回答の採用」では、AIの回答と根拠資料や業務条件を照合し、採用・保留・不採用を判定して条件を満たす回答のみを職員確認用に採用する仕組みを検証しました。2つ目の「プライバシー保護」では、必要な情報に絞って利用することで条件外の送信や不適切な出力の採用を防ぐ仕組みを検証しています。なお、実住民情報や外部AIへの実送信は行っていません。3つ目の「生成情報の利用管理」では、AIが作成した要約に元情報の利用条件を引き継ぎ、後続利用や条件変更、管理対象経路での利用終了を検証しました。これはデータの完全消去を保証するものではありません。
統合PoCでは、これら3件の判定処理を接続し、合成データによる一連の業務プロセスを検証しています。
証拠に基づいて確認できる仕組みとマッピングの公開
本取り組みの特徴は、AIガバナンスへの対応を説明するだけでなく、実際のプログラムや検証記録といった証拠をたどって確かめられる点にあります。
統合PoCでは3つの検査を同一案件・同一回答で連携させ、工程間での回答の取り違えや採用後の利用条件の変化についても検証を行いました。公開されたマッピングにより、第三者が実際のプログラムや検証記録を参照し、何が確認され、何が未確認であるかを確かめることが可能です。
株式会社クラウドシエン代表取締役の神原翔吾氏は、自治体の現場において「どの条件なら業務で使ってよいか」を判断できることの重要性を指摘し、今後は行政実務への適用可能性を高めていきたい旨を述べています。また、株式会社AIアシュアランス代表取締役の前木秀光氏は、第三者が共通の方法で根拠を検証できる仕組みがAIの社会実装を進める鍵になるとコメントしています。
各PoCおよび統合検証の技術詳細
各技術PoCおよび統合PoCでは、以下のような検証が実施されました。

- AI回答採用アシュアランス:2026年10月11日の実験において、OpenAI APIの生成回答24件を採用11件・保留3件(全文解析できなかった2件を含む)・不採用10件と判定しました。全文解析できた22件では仕様との判定不一致および仕様上の誤採用ともに0件であり、人工的な誤りを加えた110件も全件非採用と判定されました。AI原文の修正は行われていません。
- プライバシーアシュアランス:合成データと模擬送信先を用いた46ケースすべてで、送信・出力採用の判定が期待結果と一致しました。
- 派生情報ライフサイクル・アシュアランス:OpenAI APIで取得した生成文を対象に、条件承継・利用制御・模擬承認による条件変更・管理対象経路での利用終了を連続16操作で検証しました。保存記録はAPI再接続なしで再計算が可能です。
- 統合PoC:デジタル庁が公開したガバメントAI「源内」のWebインターフェース向けAPI仕様を参照し、同期型の入出力に沿った接続口を実装しました。2026年10月27日のGitHub Actionsでは、31件の合成シナリオの記録再検証、Pythonテスト1,086件、Leanによる統合モデルの18定理の検査が成功しています。なお、形式検証の対象は定義したモデルの性質であり、実装全体の正しさを保証するものではありません。
- 実OpenAI API追加実験:2026年10月26日に実施され、合成24ケースのうち6件を送信前に停止し、取得した18回答を採用10件・保留5件・不採用3件に判定しました。採用した10回答の後続利用・利用終了を計180操作で検証しています。
今回の検証は合成データと限定した仕様によるものであり、源内本体やOSS環境への実接続、実自治体での本番運用、実住民情報の処理を示すものではありません。また、AI出力全般の正確性や法令への適合、広島AIプロセスの公式認証やデジタル庁・OpenAIによる推奨等を意味するものではないとしています。
今後の展開と企業情報
両社は今回の共同成果を、株式会社オンザリンクスを代表組織としAIアシュアランスが発起・技術協力を務める「広島AIアシュアランス協議会」が提案する共通プロトコル「Hiroshima AI Assurance Protocol(HAAP)」の検討に還元していく方針です。他の自治体や産業、企業間でデータや判断をつなぐフィジカルインターネットなどへの応用も視野に入れています。また、AIアシュアランスは関連成果として「Decision Assurance Engine」も別途公開しています。
発表各社の概要は以下の通りです。
株式会社クラウドシエン
- 代表取締役:神原 翔吾
- 所在地:(本社)広島県広島市中区宝町8-26 3F
- 会社設立:2018年5月29日
- 事業内容:クラウドシエンの企画・開発・運営
- 企業HP:https://crowdsien.co.jp/
株式会社AIアシュアランス
- 代表者:前木 秀光
- 所在地:東京都新宿区北新宿4-4-4
- 設立:2026年2月10日
- 事業内容:高責任領域(物流・製薬・金融・重要インフラ等)におけるAIアシュアランス、サイバーアシュアランス技術の設計・実装支援
- URL:https://www.ai-assurance.co.jp/
本記事は株式会社クラウドシエンおよび株式会社AIアシュアランスの発表をもとに作成されています。
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