多木化学、常温硬化するりん酸アルミセメントを開発
兵庫県加古川市に本社を置く多木化学は、常温で硬化するりん酸アルミセメントを開発したと発表した。りん酸アルミニウムとアルミニウム塩の酸性成分を特定比率で混合した2成分混合型の常温硬化性バインダーで、条件に応じて任意の硬さや形状に成型できる特長を持つ。
開発の背景と新技術の仕組み
りん酸アルミニウムは、加熱脱水による縮合や高温加熱による結晶転移などによって強い硬化結合性を発現するため、バインダーとして広く利用されている。一方で、空気中の水分を吸湿して潮解する性質があり、バインダーとして用いる際には500度以上の仮焼成が必要とされていた。
今回開発された技術では、りん酸アルミニウムとアルミニウム塩を特定比率で混合することで、常温混合と型枠成型のみで成型体を得ることが可能となった。例えば、りん酸アルミニウム(製品名:100L)と塩基性塩化アルミニウム(製品名:タキバイン®#1500)の組み合わせでは、透明で高強度な成型体が得られ、吸湿性も発現しないことが確認されている。
高強度と耐熱性を両立
常温硬化のバインダー分野ではアルミナセメントが広く利用されているが、多木化学のりん酸アルミセメントも経時的に強度が増加し、アルミナセメントを上回る強度を発現する。また、耐熱セラミックスとしての利用を想定した100度から1400度での焼成後試験においても、全温度範囲で高い強度を示すことが確認された。

アルミナを基材とするセラミックス成型体を作製する場合、りん酸アルミニウム(製品名:100P)と塩基性乳酸アルミニウム(製品名:タキセラム® M-160P)からなるりん酸アルミセメントと、アルミナ、水を特定比率で常温混合・型枠成型することで成型体が得られる。従来の単一成分バインダーで必要だった乾燥や仮焼成の工程を省くことができる。


工程削減や環境負荷低減への期待

本技術により、これまで不可欠だった仮焼成工程が削減され、エネルギー使用量の低減や二酸化炭素(CO2)排出の削減につながるとしている。また、硬化時間や硬度を調整できるため、製造工程の省略化や省設備化が見込めるほか、アルミナセメントとは異なるpH領域で硬化する新たな酸性常温硬化型バインダーとしての展開が期待されている。
本技術は、日本セラミックス協会2026年年会、耐火物化学協会第38回年次学術講演会、日本化学会北海道支部2026年夏季研究発表会で発表された。
今後の出展予定
多木化学は、以下の国際会議の企業展示に出展し、りん酸アルミセメントの技術紹介や各種無機バインダーの展示、サンプル提供などを行う予定としている。
- 会議名:第11回国際セラミックス会議[11th International Congress on Ceramics(ICC’11) ]
- 開催期間:2026年9月7日(月)~9月10日(木)
- 会場:札幌コンベンションセンター
- 展示内容:りん酸アルミセメントの技術紹介、各種無機バインダー展示
本記事は多木化学の発表をもとに作成。
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