Dellows News

旭化成とアヤハエンジニアリングがミリ波異物検査技術のライセンス契約を締結

東京都千代田区に本社を置く旭化成株式会社(社長:工藤 幸四郎)は、保有する「ミリ波微小金属異物検査技術」に関して株式会社アヤハエンジニアリングとライセンス契約を締結しました。本契約は糸・繊維製品中の金属異物検査用途を対象としています。アヤハエンジニアリングは本技術を活用した金属異物検査装置の製品化を進め、2027年1月を目途に販売を開始する予定です。

開発の背景と従来技術の課題

糸・繊維製品の製造工程では、金属異物の混入が製品の性能や品質を損なうおそれがあるため、工程内での検査が不可欠とされています。AIサーバーや高速・大容量通信の普及に伴い、プリント配線板の補強材・絶縁材に用いられる高性能ガラスクロスには高い品質が求められており、原料となるガラス繊維への微小な金属混入は最終製品の電力損失や発熱といった不具合につながる懸念があります。

従来のマイクロ波ドップラー方式(対象物に電波を照射し、対象物の移動によって生じる反射波の周波数変化を利用して金属異物を検知する方式)は、対象物が動くことで生じる変化を利用するため、検査対象を一定以上の速度で搬送する必要がありました。そのため、搬送速度が遅い工程や停止状態での検査には適用できない課題を抱えていました。

旭化成はこれらの課題解決と自社のガラス繊維製造工程での品質管理高度化を目的に、ミリ波帯の空洞共振器を用いることで、停止状態から高速搬送時までの幅広い条件下で糸などに混入した微小金属を非接触検知できる技術を確立しました。

本技術の特長と採用デバイス

本技術は、ミリ波帯の空洞共振器内に糸などの検査対象を通し、微小金属による電場の変化を共振周波数の変化として捉えることで金属異物を非接触検知する仕組みです。

空洞共振法は物質が磁界に対してどの程度反応するかを示す性質である透磁率の影響を受けにくく、鉄やニッケルなどの磁性金属だけでなく、アルミニウムや銅などの非磁性金属も高感度に検出できます。

さらに、従来方式にあった搬送速度の下限がなく、停止状態から最大800 m/minまで対応可能なため、低速搬送を含む幅広い製造工程でインライン検査を行えます。キーデバイスには、旭化成の子会社である旭化成エレクトロニクス株式会社の60GHz帯ミリ波レーダーセンサIC「AK5816」が採用されています。

今回の契約により、旭化成のセンシング技術と、アヤハエンジニアリングが持つ検査装置の設計・製造・販売およびシステム構築の知見を組み合わせ、製造現場向け検査装置の実用化を図ります。ガラスクロスの原料となるガラス繊維の製造段階で微小な金属異物を検知することで、サプライチェーン全体の品質管理高度化や不良流出・廃棄ロスの低減への貢献が期待されています。

今回のライセンス対象は糸中の金属異物検査用途ですが、本技術はフィルム・液体・粉体中の金属異物検知や、誘電率の変化を伴う材料の化学変化の検査にも応用が可能です。旭化成は今後、こうした用途への展開を含め、他の社外パートナーへのライセンス提供も視野に入れて社会実装を推進するとしています。

参考情報

旭化成が無形資産の活用として推進する取り組みの概要は以下の通りです。

  • 中期経営計画:2025年4月に発表した『中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~』のもとで「TBC(Technology value Business Creation)」を推進
  • 取り組み内容:保有する無形資産を多様な形態やライセンスとして提供・活用し収益化を図る
  • 目標数値:ライセンス活用ビジネスを2025~2027年度で10件以上創出、2030年頃までの累積利益貢献で100億円以上を目指す

本記事は旭化成株式会社の発表をもとに作成されています。

アクセスランキング

今日

1週間