TAI、次世代AI半導体Manta Ray量産に向けマレーシア企業と実証推進へ
神奈川県横浜市に本社を置くTokyo Artisan Intelligence株式会社は、経済産業省からAMEICC(日ASEAN経済産業協力委員会)への拠出金に基づき実施される令和7年度補正「グローバルサウス未来志向型 共創等事業(大型実証 ASEAN加盟国)」の第一回公募に採択された。同社は経済産業省の補助事業として、マレーシアの半導体設計大手Oppstar社をはじめとするグローバルパートナーと協業し、独自の低消費電力な次世代AI半導体チップ「Manta Ray(マンタレイ)」の将来的な量産に向けた実証実験を推進する。AI普及に伴う消費電力の増大や労働人口減少による人手不足といった課題に対し、日本発の技術でグローバル市場展開を進めていく方針だ。
AI技術の急速な拡大に伴う電力消費の急増が世界的な課題となるなか、鉄道や製造、建設などの現場では省力化・自動化が求められており、省電力かつリアルタイムに動作するフィジカルAIの需要が高まっている。東北大学発の技術をベースにエッジAIの社会実装を進めてきたTokyo Artisan Intelligence株式会社は、2026年6月に日馬両国政府の共同声明に掲げられた「AI・半導体連携」を具現化するプロジェクトとしてOppstar社と戦略的パートナーシップ(SCF)を締結した。同年7月にはテストチップ「Sting Ray」の評価を完了し、将来的な量産化を見据えた「Manta Ray」プロジェクトを始動させている。
実証の場となるマレーシアは、国家半導体戦略(National Semiconductor Stratey: NSS)のもと、従来の組立・テストといった後工程中心から、IC設計や先端パッケージング、ウエハー製造といった高付加価値な上流工程への転換を進めている。同社は今回の事業補助を活用し、日本発の半導体技術とマレーシアのIC設計力を融合させ、次世代AI半導体の将来的な量産・実用化の加速を図るとしている。
AI半導体チップManta Rayの構想と日馬共創体制
本事業では、現場への組み込みを見据えたAI半導体チップ「Manta Ray」の開発・評価および事業化を推進する。「Manta Ray」は書き換え可能な回路構造を持つFPGA技術をベースとしており、汎用チップと比較して大幅な消費電力削減とリアルタイム処理の両立を特徴としている。
検証領域としては、日本の鉄道・インフラ設備、スマートファクトリー、ロボット等への組み込みを想定している。通信遅延や電力供給に制約のある環境において、AIによるリアルタイムの画像解析や検知を低消費電力で実現することを目指す。体制面では、Tokyo Artisan Intelligence株式会社がAIハードウェア構造設計、現場実装および販売を担い、Oppstar社がシリコン設計および検証を担当する予定となっている。同社はこれまで国内でフィジカルAIのPoC・社会実装を進めてきたが、AI半導体チップそのものの設計・量産・評価にまで対象を広げた事業化は、マレーシアを含む海外ではまだ実施しておらず、本事業を通じてグローバル市場での展開を目指す。
政府支援による事業化推進と今後の展望
AI半導体の量産化には設計・製造や評価ボードの開発、Post-silicon評価、顧客用途別の実装・検証など大規模な先行投資が必要となる。同社によると、本事業の補助がない場合は自社資金負担が実質3倍となり、評価環境の整備や顧客実証、国内企業への設計・製造委託等の投資縮小を余儀なくされ、量産および事業化の時期が後ろ倒しとなる可能性があるとしている。補助を受けることで、2027年のチップ設計・製造・評価、2028年の初期顧客向け評価・先行導入を進め、2029年以降の本格事業化につなげる計画だ。2028年から2030年までの初期ロットでは、鉄道、ロボット、船舶・産業機器等への展開を目標に掲げている。
今後の展開として、FPGA評価ボード(累計100台計画)の国内中小企業への製造・評価委託を通じて約数千万円規模の経済波及を見込むほか、エンジニアやビジネス人材の採用強化を進める予定だ。代表取締役社長 CEO・CTOの中原啓貴は、マレーシアOppstar社をはじめとするパートナーとともに次世代AI半導体チップ「Manta Ray」の開発を進め、グローバル展開に向けた開発および事業開発の体制を強化していく方針を示している。
Tokyo Artisan Intelligence株式会社の会社概要
- 社名:Tokyo Artisan Intelligence株式会社 (トウキョウ アーチザン インテリジェンス)
- 代表取締役社長 CEO・CTO:中原啓貴
- 設立:2020年3月3日
- 所在地:神奈川県横浜市港北区新横浜2丁目3-19 プライム新横浜ビル 5階
- 事業内容:深層学習アルゴリズムの研究開発、エッジAIプロダクトの開発および販売、AIエキスパート・エンジニアの育成
- 会社HP:https://tokyo-ai.co.jp
本記事はTokyo Artisan Intelligence株式会社の発表をもとに作成されています。
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