エイシングと大成建設、シールドマシン自動運転向け方向制御AI技術を開発
機械制御向けAIアルゴリズムを提供する株式会社エイシングは、大成建設株式会社と共同で、シールドマシンの自動運転化を目指した方向制御AI技術を開発した。泥土圧シールド工事における実証実験を実施し、高精度な掘進制御が可能であることを確認している。
熟練者の判断プロセスを学習し技能継承や担い手不足に対応
シールドマシンの操縦は、地盤条件の変化に応じて微細な操作が求められる高度な作業であり、施工精度は熟練オペレータの経験に大きく依存していた。経験の浅い作業者によるわずかな操作のズレは線形逸脱やセグメント破損につながる恐れがあるほか、技能継承の難しさも顕在化している。

こうした背景から両社は、熟練者が行う推進ジャッキの力点位置調整などの判断プロセスをAIに学習させ、掘進方向を自動制御するAIモデルを共同開発した。AIが最適な出力配分を導き出すことで方向制御の高度化を図り、技術の平準化を通じて将来的な担い手不足への対応にも貢献することを目指す。大成建設土木本部土木技術部の谷口敦室長は、シールド工事の省人化や安全性・品質向上の鍵として、自動運転技術の実用化とさらなる高度化につながることに期待を寄せている。
鹿児島の実証実験で到達誤差3mm以内を達成
共同開発した方向制御AIによる自動運転技術は、「鹿児島3号東西道路シールドトンネル(下り線)新設工事」に現場実装され、有効性が検証された。AIが掘進中の機械挙動を解析して油圧ジャッキの出力配分を即時に決定し、各リング掘進後に精度を評価して再学習を行う仕組みを構築している。
実証実験の概要は以下の通り。
- 対象工事:鹿児島3号東西道路シールドトンネル(下り線)新設工事(泥土圧シールド φ11.34m)
- 実証条件:右700mR曲線区間、上り勾配1.47%
- 実装技術:方向制御AI(最適モデルの自動選定+逐次学習)
- 検証結果:直径11mの泥土圧シールドによる自動運転において、水平・垂直ともに目標座標に対する到達点のずれが3mm以内という高い精度を達成


現場で継続学習する独自アルゴリズム「AiirMST」を活用
本技術には、エイシングが保有する複数の特許技術を基盤とした独自機械制御向けAIアルゴリズム「AiirMST」が採用されている。現場で取得したデータをその場で継続的に学習し、クラウド通信を介さずにモデル更新が可能な点が特長だ。地盤の性質や機械挙動に変化が生じてもデータを逐次追加学習することで、現場条件への適合度を高め、安定した掘進運転を可能にする。

また、過去データの網羅性不足という課題に対しては、多数のシールドマシンの特性の違いを踏まえてデータを拡張し、多様な仮想モデルを作成した。運用時に実際の現場条件に最も近いモデルを自動選定する仕組みを導入し、実績データだけでは想定しきれない施工条件にも対応できる汎用性を確保した。
株式会社エイシングの概要
- 代表者:代表取締役CEO 出澤 純一
- 所在地:東京都港区赤坂6丁目19番45号 赤坂メルクビル1F
- 設立:2016年12月8日
- 資本金:1億円
- 公式サイト:https://aising.jp/
本記事は株式会社エイシングの発表をもとに作成。
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