Dellows News

Stripe 上の新規プラットフォーム事業者数が前年同期比 180% 超増加

プログラマブルな金融サービスを提供する Stripe は、SaaS プラットフォームの最新動向に関するデータを公表した。直近 3 か月間の Stripe 新規開設数は 2025 年下半期 (6 か月分) の合計を上回り、新規プラットフォーム事業者数は前年同期比 180% 超の増加を記録した。2026 年初頭に広がった市場の懸念とは対照的に、足元の決済データからは堅調な事業実態が示されている。

市場の悲観論と対照的な決済データの回復

ソフトウェア業界では、AI エージェントの台頭によるソフトウェア開発の容易化やコモディティ化への懸念から投資家心理が冷え込み、2026 年1 月下旬から 30 日間でソフトウェア企業の時価総額が合計約 1 兆ドル (約 160 兆円) 減少した。この急落は「SaaSpocalypse (SaaS の終焉) 」とも報じられたが、その後に株価は暴落前の水準まで回復している。

Stripe Economics の調査によると、Stripe を利用する非 AI 分野の大手 SaaS 企業 100 社の週次取引数は一時的な落ち込みの後に V 字回復し、拡大傾向を維持している。また、直近 3 か月に稼働を開始したプラットフォームはいずれも顧客を持つ実体のある事業者であり、2026 年 1 月に新規稼働したプラットフォームは過去のどのコホートと比較しても高い割合で、同期間内に決済額 100 万ドル(約 1 億 6,000 万円)を達成したとしている。

業界特化と業務データ連携による差別化

ソフトウェア自体の開発ハードルが下がる中、特定の業界や業種特有のニーズに特化したプロダクトの構築が差別化戦略となっている。美容医療クリニック向けに電子カルテや診療ワークフローなどを統合提供する「Aesthetic Record」や、寄付者管理などを CRM(顧客管理システム)に直接組み込んだ非営利団体向けプラットフォーム「Bloomerang」のように、業界知見をもとに構築されたサービスが成長をみせている。

Stripe のデータ分析によると、高い競争優位性を持つ SaaS プラットフォームには共通して以下の3つの特徴があるとしている。

  • 予約管理や在庫管理などの「コア業務」を担っていること
  • 顧客履歴や価格設定ロジックなどの「価値ある業務データ」を保有・管理していること
  • 「日々の業務オペレーションと資金移動(決済)」を密接に連結させていること

グローバルプライベートエクイティ大手 Advent のパートナー、エリック・ノース (Eric Noeth) 氏は、解約しても業務が回り続けるプロダクトは容易に乗り換えられる一方、保険金の支払いや車の販売、決済が止まるようなプロダクトには高い競争優位性がありリプレイスが困難であると指摘している。

AI の進化はプラットフォームの機能拡充と開発スピードの向上にも寄与している。2026 年 8 月時点で、Stripe 上の新規開設プラットフォームの 55% 超に何らかの形で AI が活用されている。サービス登録手続きの自動化やスケジュール調整の最適化、不正リスクの低減、AI エージェント機能による業務代行など、業務ワークフローの高度化が進んでいる。

インテグレーション面でも成果が表れており、Stripe 上でフルインテグレーションを構築するセルフサーブ型 SaaS プラットフォームの数は前年同期比で約 360% 増加した。単なる検証段階にとどまらず、加盟企業の実務に必要な本格的機能を備えたプラットフォームが増加していることが示されている。

Stripe の概要

  • 本社所在地:サンフランシスコ、ダブリン
  • 主な事業:プログラマブルな金融サービスの構築
  • 実績:世界の GDP の 1.6% に相当する年間 1.9 兆ドル (約 300 兆円) 以上の決済を処理
  • ウェブサイト:https://stripe.com/jp

本記事は Stripe の発表(2026 年 9 月 17 日付)をもとに作成されています。

アクセスランキング

今日

1週間