ジャグプロジェクト、生成AIの誤回答を抑える仕組みを旅行以外の分野へ提供開始
ジャグプロジェクト合同会社は2026年10月30日、生成AIの誤回答を抑える仕組み「Jag ウラドリ System」を、旅行以外の分野の事業者や団体に提供する取り組みを開始した。既存のチャットボットや業務用の生成AIを変更せずに、AIが参照する資料と回答ルールの確認、導入後の定期的な測定を行う。あわせて、防災分野における追試の結果を公表した。
防災分野の追試で誤回答が16問から0問に減少
同社は旅行以外の分野での有効性を確認するため、避難所や避難場所、災害時の給水、区の防災窓口と電話番号、罹災証明書の申請、帰宅困難者、ハザードマップに関する防災の相談30問(東京都江東区24問・江戸川区6問)を用いて追試を実施した。正解は区・都・国の公式ウェブサイトで確認した事実に基づいている。
仕組みを適用する前の同じAIでは、公的な情報と食い違った回答が30問中16問あったのに対し、Jag ウラドリ Systemを適用した構成では0問となった(2026年10月2日測定)。江東区の24問においては、回答に含まれていた要点の割合が51.4%から93.8%に上昇した。比較対象となった汎用的なチャットAI2つでは、食い違いが7問と0問だった。食い違いが0問だったチャットAIは30問中20問で「確かめられない」と回答し、江東区の要点の割合は35.4%にとどまった。
同社のシステムは江東区の公的情報で確認した資料を参照して回答するため比較条件は同一ではない。確認資料のない江戸川区の6問では、確認できない事実を回答しない方針により要点の割合は9.7%となった一方、6問すべてで確認先となる窓口や問い合わせ内容が提示された。
このほか、国ごとに異なる連絡先や手続きに関する74問の調査(2026年9月22日)では、旅行向けAI「トラベルAIレスキュー」の誤回答が0件、一般のチャットAI3つが14~18件であったことや、報告書下書きに含まれる事実でない記載が5件から0件に減少した実績(2026年9月)なども示されている。
正確性の確保が求められる運用の背景

生成AIを業務で利用する企業において、最大の懸念事項として「情報の正確性」が挙げられている(50.4%、2026年3月、帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」)。汎用的なチャットAIの回答は大半が正確であるため誤りに気づきにくく、窓口や電話番号、手続き、期限など地域や組織ごとに異なる事実に誤りが集中しやすい傾向がある。
公的な指針としても、デジタル庁の「生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2026年6月改定)において、調達チェック項目に「偽誤情報の出力・誘導の防止措置」「データ品質」「検証可能性」が盛り込まれ、運用開始後も安全性や品質を定期的に検証することが求められている。また、金融庁も「AIディスカッションペーパー第1.1版」(2026年3月)で、顧客対応にAIを利用する際の注意喚起や運用状況の記録・モニタリングを論点として挙げており、導入後に正確な動作をいかに検証するかが利用側の課題となっている。
回答前後に確認を挟む6つの手順
Jag ウラドリ Systemは、報道における事実確認(裏取り)の考え方をAIの回答前後に組み込む仕組みである。同社が旅行の緊急時向けAI「トラベルAIレスキュー」の開発や調査白書(2026年10月7日公開)で検証してきた以下の6つの手順で構成されている。
- 生成させない:番号、住所、窓口など地域や機関に固有の事実は、確認済み資料にある情報のみを回答する。
- 照らし合わせる:回答内の番号や場所を資料と機械的に照合する。
- 別のAIが確かめる:別の事業者のAIが回答を読み、見落としや過度の表現を指摘する。
- 抜き出して組み立てる:報告や書類の下書きは相談文から事実を抜き出して作成する。
- 分からないときは次の一手を添える:資料にない事項は「確かめられない」と答え、確認先の窓口と質問内容を添える。
- 測り続ける:同一の設問を定期的に回答させ、基準と比較する。
既存のチャットボットや生成AIを置き換える必要はなく、参照資料と回答ルールの確認、精度の測定を行う。
4つの提供形態と誤回答診断
提供形態としては、利用企業のAI回答を本システムが確認してから出力する「仕組みの提供」、公式情報や社内規程から一覧表を作成して週単位で更新を確認する「AIが答えるときに見る資料の整備と、最新かどうかの定期点検」、「誤回答の診断」、そして「分野ごとのアプリ」の4つが用意されている。
導入の起点となる「誤回答の診断」では、測定前に基準を定めて記録し、回答を伏せた状態で採点を行う。設問と根拠URL、公的情報と食い違った回答一覧、要点の網羅率、危険な回答例、参照資料や回答ルールの改善提案などが報告書として提供される。国の調達ガイドラインに対応した検証設計書も作成され、測定期間の目安は約2週間、測定中のAIへの変更は行われない。
同社代表のJag Yamamotoは、旅先の緊急時向けに構築した手順を防災相談で検証した結果、同じAIでも公的情報を確認した資料とルールを適用することで食い違いが16問から0問になったとし、利用中のAIを変更せずに裏取りを継続する仕組みを旅行以外の分野へも提供していく旨を述べている。
- 所在地:東京都江東区
- 代表者:Jag Yamamoto
- 事業内容:海外旅行者向け通信サービス「PANAM 海外あんしんトラベルSIM」、旅行の緊急時のAI「トラベルAIレスキュー」、生成AIの誤回答を抑える仕組み「Jag ウラドリ System」の提供
- ウェブサイト:https://www.jagproject.com/
本記事はジャグプロジェクト合同会社の発表をもとに作成されています。
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