八千代ソリューションズ、MENTENAに劣化予測機能を2026年11月提供へ
工場管理システム「MENTENA」を提供する八千代ソリューションズ株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長:水野 高志)は、多段階マルコフ劣化ハザードモデルを活用した劣化予測機能を同システムへ実装すると発表した。第一弾として、実データを用いて検証済みの空調設備の電流値を対象に、2026年11月より提供を開始する予定だ。
本機能は、MENTENAに蓄積された日常点検の測定データをもとに設備の将来状態を確率的に可視化し、一律の周期基準から設備の状態やリスクに応じた保全優先順位への移行を支援することで、設備トラブルのリスク低減と保全コストの最適化を目指す。
点検データから将来の劣化傾向を確率的に可視化

MENTENAに実装される劣化予測機能は、日常点検の測定データを活用して設備の状態を「健全」「注意」「警戒」「危険」などの複数段階に分類する。それぞれの状態から次の段階へ移行するまでの期間や、将来どの状態にある可能性が高いかを統計的に推計し、グラフで可視化する仕組みとなっている。
特定の設備について故障時期を断定するものではなく、蓄積された設備群の点検データから将来の劣化傾向を確率的に示すことで、中長期の保全計画や設備更新の判断材料として活用することを想定している。新たな高頻度センサーの設置を前提とせず、現場で日々蓄積されている点検データを利用できる点も特徴としている。第一弾の空調設備の電流値については、実データ約15,000件を用いた推計により、劣化傾向を算出できることを確認しているという。
製造業の現場では日常点検や定期点検によって多くの設備データが蓄積されているものの、異常の検知や履歴参照への利用にとどまり、将来の劣化予測や投資判断にまで活用できていない事例が少なくない。特に長期間稼働している設備では、故障後に修理する事後保全だけでなく、状態を踏まえて点検や修繕、更新の時期を判断することが重要視されている。
これまで八千代ソリューションズは、MENTENAを通じて設備台帳や点検・修繕履歴の一元管理など、設備保全業務のデジタル化を支援してきた。今回は設備データを記録・蓄積する段階から一歩進め、将来の設備状態の予測や保全計画の意思決定に役立てることを目的に、マルコフ劣化ハザードモデルを活用した機能を開発したとしている。
多段階マルコフ劣化ハザードモデルは、設備や構造物の状態を複数の健全度に分類し、時間の経過とともにどのように変化するかを確率的に推計する統計モデルである。2005年に京都大学で提唱され、橋梁やトンネル、道路舗装をはじめとする社会インフラの維持管理分野で研究・活用されてきた。
現在、京都大学の「国際メガ・インフラマネジメント政策講座(八千代エンジニヤリング寄付講座)」では、同モデルを実装した劣化予測Webアプリケーション「MARKAS(マーカス)」を公開している。MENTENAに実装する機能は、MARKASのマルコフ推計ロジックをベースに、親会社の八千代エンジニヤリング株式会社がデータの前処理などの独自開発を加え、製造設備の点検データに適用できるようにした。
なお、マルコフモデルを用いた状態遷移の考え方は、2026年3月に発行されたISO/TR 13849-3:2026(機械類の安全性-制御システムの安全関連部-第3部:マルコフモデルに基づくPFH計算)においても、機械類の安全性に関する故障確率の評価手法として採用されている。
適用拡大に向けた共同検証パートナーを募集
八千代ソリューションズは、空調設備の電流値以外の設備や測定項目への適用拡大を目指し、共同検証に参加する企業の募集を開始した。検証ではまず今回のモデルの有効性を評価したうえで、参加企業が管理する設備や測定項目への適用可能性を検討する。点検データをもとに新モデルの構築や推計結果の妥当性、保全業務での活用方法などを検証していく。
共同検証パートナーとして想定されている企業の条件は以下の通りである。
- 設備の日常点検データを継続的に蓄積している企業
- 長期間稼働している設備を保有し、老朽化への対応を検討している企業
- 周期を基準とした保全から、設備状態に応じた保全への移行を検討している企業
- 設備データを活用した予防保全・予知保全に取り組みたい企業
検証への参加希望は、メールアドレス(mentena-support@yachiyo-eng.co.jp)にて受け付ける。なお、共同検証を通じて得られたモデルや知見は今後のMENTENAの機能開発に活用される場合があるほか、企業名や業務上の情報が同意なく公表されることはない。また、申し込み状況によって受付を終了する場合があるとしている。
京都大学 経営管理大学院 国際メガ・インフラマネジメント政策講座の客員教授である藤木 修氏は、社会インフラ分野で発展した手法が製造業の設備保全に展開される意義を指摘し、事例の蓄積を通じて多様な設備や測定項目へと適用が広がることに期待を寄せている。
また、八千代ソリューションズ代表取締役社長の水野 高志氏は、現場に蓄積された点検データを保全計画や設備更新の判断に直接つなげる意思決定支援プラットフォームを目指すとし、今回の機能はその第一歩であり共同検証を通じて適用範囲を広げていくとしている。
関連情報
工場管理システム「MENTENA」は、設備の突発停止の最小化を目指し、点検・保全・修理といった業務を一元化するシステムである。
- Webサイト:https://mentena.biz/
八千代ソリューションズ株式会社は、八千代エンジニヤリング株式会社が60年以上培ってきた社会インフラマネジメントの知見を活用し、データを資産として生かすアセットマネジメントを推進している。
- 会社名:八千代ソリューションズ株式会社
- 所在地:東京都台東区浅草橋5-20-8
- 代表者:代表取締役社長 水野 高志
- Webサイト:https://yachiyo-sol.com/
本記事は八千代ソリューションズ株式会社の発表をもとに作成。
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