順天堂大など、潰瘍性大腸炎へのA-FMT療法の多施設共同比較試験を開始
順天堂大学とメタジェンセラピューティクス株式会社は、2026年9月8日より、活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法(A-FMT療法)」の多施設共同ランダム化比較試験を開始しました。厚生労働省承認の先進医療Bにおける臨床研究で有効性と安全性が示されたことを受け、臨床実装を見据えて実施規模を拡大します。本研究では、抗菌薬投与期間の短縮に伴う有用性や安全性の検証、効果発現メカニズムの解明も進められます。

先進医療Bの成果を受け臨床実装に向け規模を拡大
大腸粘膜に慢性的な炎症を起こす指定難病の潰瘍性大腸炎は、原因の一つとして腸内細菌叢の乱れが関与していることが明らかになっています。順天堂大学では2014年6月より抗菌剤併用腸内細菌叢移植(以下「A-FMT」)に関する臨床研究を継続してきました。
2023年から2025年にかけて実施された先進医療B「活動期潰瘍性大腸炎患者を対象とする抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」の多施設共同臨床研究では、治療開始から8週間後に寛解導入率45.9%を達成し、主要評価項目を満たす有効性と安全性が確認されました。従来の試験で報告されている偽薬使用時の寛解率(約20%)と比較して高い効果が示されたことや、これまで限られた施設でのみ実施されてきた背景を踏まえ、より広い臨床現場での適用可能性を検討するため多施設共同臨床研究の規模拡大に至りました。
投与期間の短縮とメカニズム解明を検証
本試験における主な目的は、規模拡大による適用可能性の検討に加え、投与期間短縮の検証と作用機序の解明です。
先進医療Bで実施された2週間の抗菌薬投与は臨床実装上の課題となり得ることから、本研究では投与期間を5日間に短縮し、有用性および安全性を検証します。あわせて、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験の実施により、A-FMT療法を受ける患者の腸内細菌叢の変化に関するデータを取得し、効果発現メカニズムの探索を行います。
A-FMT療法は、アモキシシリン、ホスホマイシン、メトロニダゾールの3種類の抗菌薬(AFM療法)で乱れた腸内細菌量を減らしたのち、ドナー便から生成した腸内細菌溶液を内視鏡や注腸によって注入し、バランスのとれた腸内細菌叢の再構築を図る治療法です。
全国の大学病院など10施設が参加
本研究は、順天堂大学大学院医学研究科 腸内細菌療法リサーチセンター・消化器内科の石川 大教授が研究代表者を務めます。共同研究機関であるメタジェンセラピューティクス株式会社は、ドナーのリクルーティングおよび便検体の管理、腸内細菌叢溶液の作成、品質管理、輸送に係る支援業務を担います。
2026年10月現在の研究参加施設(都道府県順)は以下の通りです。

- 北海道大学病院
- 自治医科大学附属病院
- 順天堂大学医学部附属練馬病院
- 順天堂大学医学部附属順天堂医院
- 金沢大学附属病院
- 滋賀医科大学医学部附属病院
- 京都府立医科大学附属病院
- 大阪大学医学部附属病院
- 川崎医科大学附属病院
- 九州大学病院
研究の詳細は、臨床研究等提出・公開システム(jRCT:https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs031260318 )で公開されています。
本記事は順天堂大学およびメタジェンセラピューティクス株式会社の発表をもとに作成しています。なお、潰瘍性大腸炎の患者数に関する記述は「Journal of Gastroenterology」(DOI: 10.1007/s00535-025-02295-z)の公表データに基づきます。
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