ElevationSpaceとDLR、宇宙輸送や微小重力利用で協力覚書を締結
株式会社ElevationSpaceは、ドイツ連邦共和国の国立航空宇宙研究機関であるドイツ航空宇宙センター(DLR)と、先進的宇宙輸送および微小重力利用に関する協力覚書(MoU)を締結した。
両者は今後、DLRが有する地上試験設備や解析技術、観測ロケットでの実績と、株式会社ElevationSpaceの軌道からの再突入が可能な宇宙機を組み合わせ、技術知見の向上や共同実験テーマの検討を進める。2030年末に運用終了が決定している国際宇宙ステーション(ISS)を見据え、地球低軌道における新たな宇宙利用基盤の構築を目指す。
再突入・回収技術の高度化に向けた連携
宇宙から地球へ物資を持ち帰るには、大気圏再突入時の空力加熱への対応や機体の誘導制御技術が不可欠となる。これらの検証は地上試験や数値シミュレーションが中心となるものの、実際の再突入環境を地上で完全に再現することは難しく、飛行データの不足が研究開発の課題となっていた。
今回の合意に基づき、DLRの地上試験設備・解析技術および観測ロケットでの飛行実験実績と、株式会社ElevationSpaceの宇宙機を組み合わせる。地上試験、シミュレーション、実際の飛行データを照らし合わせることで、揚力を活用した再突入機の空力、熱防護システム(TPS)、機体健全性監視システム、飛行制御に関する知見を高め、将来の再使用型宇宙輸送の基盤づくりへつなげることを目指す。
微小重力環境を生かした材料実験と試料回収の検討
微小重力環境下での材料研究や積層造形(3Dプリンティング)は、将来の軌道上における部品製造・修理や長期の宇宙活動を支える技術として扱われている。DLRは観測ロケットによる実験を重ねてきたが、得られる微小重力時間は数分程度に限られており、長時間の実験や試料を地上へ持ち帰って分析する手段の確保、さらにISS運用終了後の実験環境の確保が課題となっていた。
両者は、株式会社ElevationSpaceの軌道上実証・回収衛星ELS-Rなどを活用し、長期間の微小重力環境での材料実験・製造実証と試料の回収・分析を一貫して行う枠組みの検討に入る。これにより、地上や観測ロケットでの研究から軌道上実証へ段階的に進める道筋の確立を図る。
今後の展開と関係者の見解
両社は今後技術交流を進め、宇宙機を活用した最初の共同実験・実証テーマの選定に向けた検討を行うとしている。
株式会社ElevationSpaceの代表取締役CEOである小林稜平は、成果を地上へ持ち帰る帰還技術は地球低軌道の持続的な活用に欠かせないとしたうえで、DLRの再突入や材料・製造研究の知見と同社の回収能力を組み合わせ、ポストISS時代の宇宙利用基盤づくりに貢献していく意向を示した。
また、DLR 東京事務所のNiklas Reinke氏は、1990年代のEXPRESSミッションや「はやぶさ2」、参画中の「MMX」といった日独の協力実績に触れ、今回の協力によってDLRの研究を地球低軌道から地上への帰還という新たな段階へ進められることへの期待を述べている。

発表組織の概要
ドイツ航空宇宙センター(Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt)
- 本部:ドイツ・ケルン
- 規模:ドイツ国内各地の【51】の研究所・施設で約【12,000】名の職員が活動
- 備考:DLR内に置かれたドイツ宇宙機関(German Space Agency at DLR)が連邦政府の委託を受けて国家宇宙プログラムを計画・実施
- ホームページ:https://www.dlr.de/
株式会社ElevationSpace
- 会社名:株式会社ElevationSpace(英文表記:ElevationSpace Inc.)
- 所在地:〒980-0013 宮城県仙台市青葉区花京院2-1-65 いちご花京院ビル9階
- 設立:2021年2月
- 代表者:代表取締役CEO 小林稜平
- ホームページ:https://elevation-space.com/
- 事業内容:宇宙環境利用・回収プラットフォーム事業、有人拠点からの高頻度物資輸送事業、Co-Creation 事業
本記事は株式会社ElevationSpaceの発表をもとに作成。
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