円安の進行により企業の64%が利益減
帝国データバンクが実施した円安が企業へ及ぼす影響についてのアンケート調査によると、昨今の円安進行により63.9%の企業が利益面でマイナスの影響を受けていることが明らかになった。さらに、3割超の企業が売上高・利益ともにマイナスの影響を被っている。調査は2024年5月10日から15日にかけてインターネット上で行われ、1,046社から有効回答を得た。
また、企業にとって適正な為替レートの水準については、「1ドル=110円~120円台」が50.1%と半数を占めた。これは現在の1ドル=156円前後の水準とは大きな開きがあり、多くの企業から、現状の円安水準では企業活動が厳しいとの声が上がっている。
輸入材料の価格上昇を余儀なくされる一方で、それを自社の商品・サービス価格に転嫁することは難しく、収益が低下しているという企業の実情が浮き彫りになった。また、円安による物価高が個人消費や企業の仕入れ、設備投資にも悪影響を及ぼしていることが分かった。
一部では、円安による輸出の好調やインバウンド消費の活発化を歓迎する声も聞かれたが、総じて急速な円安への対策や為替相場の安定を望む企業が多数を占めた。
円安は輸出企業の利益を押し上げる反面、輸入依存度の高い内需型産業などでは原材料やエネルギー価格の上昇による物価高をさらに加速させる。円安による原材料などの価格上昇分を十分に転嫁できる環境整備と、継続的な賃上げによる消費拡大、設備投資の増加という好循環の実現が必要となる。