鉄道橋アオリ監視装置を実用化
セイコーエプソン株式会社は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)および長野計器株式会社と共同開発した、鉄道橋の鋼橋支点部の状態を遠隔で監視する「アオリ監視装置」の実用化に成功したと発表した。
近年、鉄道橋における鋼橋支点部の保守業務では人材確保や測定の精確性などに課題があり、高精度加速度センサーを用いて列車通過時の桁の上下動(アオリ)を自動で測定可能な監視装置の需要が高まっている。
共同開発した「アオリ監視装置」は、エプソンの高性能3軸加速度センサー『M-A352』を搭載し、アオリの大きさを自動で測定する。測定結果は信号処理により管理しやすいデータに加工され、電子メールで送信される。これにより、遠隔でのアオリ測定が可能となり、従来は作業員に頼っていた監視作業の自動化に貢献する。
『M-A352』はエプソン独自の水晶方式の加速度センサーで、小さな加速度も捉えることが可能。アオリの大きさにかかわらず、振動の高精度な測定が実現できることから、JR東日本による加速度センサーを用いたアオリ検知アルゴリズムの構築に大きく貢献した。また、高耐久性や温度依存性の良さも実用化に成功した要因となっている。
エプソンは、高精度センシング技術により、地震・環境振動測定をはじめ、大型構造物のヘルスモニタリングや橋梁モニタリングなど幅広い用途での高精度測定を実現し、安全・安心な社会の実現に貢献していく方針だ。