NTT、4K映像で検知距離3倍以上の監視技術実証 VLM入力回数約98.1%減
NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、自社開発の「超高精細映像AI推論LSI」を活用し、4K映像を高精細なままリアルタイムに解析する映像監視技術を実証した。遠方に小さく映る対象の検知可能距離を従来比3倍以上に拡大するとともに、視覚言語モデル(VLM)と連携して状況判断を支援する。道路や空港などのインフラ監視における広域化や省設備化への貢献が期待されている。
4K映像の解像度を維持したリアルタイム解析
道路や空港などのインフラ監視では、限られた設備や人員で広い範囲から事故や異物などの重要事象を把握することが求められており、視覚言語モデル(VLM: Vision Language Model)の活用が期待されている。しかし従来の構成では、VLM入力時や前段の物体検出時の画像縮小によって遠方の小さな対象などの重要情報が失われ、高精細カメラを用いても1台あたりの監視範囲を広げられない課題があった。
NTTが独自開発した超高精細映像AI推論LSI(LSI: Large Scale Integration)は、4K映像を縮小せず、1秒間に30フレームでリアルタイムに物体を検出できる。4K映像全体を一般的な物体検出モデルの入力解像度に縮小する方式と比べ、遠方の小さな対象の特徴を維持できるため、検知可能距離を3倍以上に拡大できることを確認した。さらに、検出結果をもとに対象を追跡し、位置・速度・移動方向などの動きの情報を推定する。
切り出し画像と動きの情報でVLMの判断を支援
本技術では、平常時は消費電力20W以下の超高精細映像AI推論LSIが4K映像を常時解析する。VLMによる詳細な状況判断が必要と判定された事象を検知した場合にのみVLMの解析を実行するイベントドリブン処理を採用した。

解析時には、対象周辺を4K解像度を保ったまま切り出した高精細画像と、対象や周辺物体の位置・速度・移動方向などの動きの情報をセットでVLMに入力する。これにより、VLMは切り出し画像から細部を確認し、時間的な変化を動きの情報から把握して状況判断を行う。映像を継続的にVLMへ入力する構成と比べて入力回数を大幅に削減し、処理負荷や通信量、トークン消費量、システム全体のエネルギー消費の低減も見込めるとしている。
事故映像を用いた実証と2026年度内の製品提供

事故発生の瞬間を含む1分間(1,800フレーム)の4K映像(注:C. Creß et al., “A9-dataset: Multi-sensor infrastructure-based dataset for mobility research,” 2022 IEEE Intelligent Vehicles Symposium (IV), pp. 965–970, 2022. のデータセット映像を4K解像度にアップスケールして利用)を用いたPoCシステムの動作確認も行われた。4K映像全体を入力した構成では画像縮小によって車両が小さく潰れ事故と判断できなかったのに対し、本システムでは停止した黄色の車両を検知し、その周辺を画素情報を保ったまま320×320画素で切り出した画像と動きの情報を入力することで、事故と判断できることを確認した。
また、1分間におけるVLMへの入力回数は34回に抑えられ、全1,800フレームを入力する場合と比較して入力回数を約98.1%削減した。

NTTイノベーティブデバイス株式会社より、2026年度内に本LSIを搭載した製品(Engineering Sample)の提供開始を予定している。なお、本研究成果は2026年11月18日~25日に開催されるNTT R&D FORUM 2026に展示予定となっている。
本記事はNTT株式会社の発表をもとに作成。
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