ヘッドウォータース、J-POWER向け施工計画リスクアセスメント支援AIを構築
AIプラットフォーム事業を手がける株式会社ヘッドウォータース(東京都新宿区、代表取締役:篠田 庸介)は、電源開発株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:加藤 英彰、以下「J-POWER」)において、グループ社員約3,000名が利用するAIを活用した施工計画のリスクアセスメント支援システムを構築した。重篤な労働災害の防止に向け、人が見落とす可能性のある危険項目の抽出を補完し、経験に左右されにくいリスクアセスメントを目指す取り組みとなっている。同社は現在、本番環境の整備と継続的な改善を支援している。
危険項目の見落とし防止と業務の標準化を目指す
施工計画のリスクアセスメントは、作業に潜む危険を洗い出して危険度を評価し、低減対策を検討する安全管理業務である。J-POWERは、危険項目の見落とし防止を出発点として、定例業務の効率化や属人化の解消、技術・経験の継承、一定の評価精度の確保を目的に本取り組みを進めている。AIの出力を正解とするのではなく、担当者が作成および確認するリスクアセスメントと照らし合わせ、内容を精査するための支援を意図している。
設備の高経年化や業務の多様化、担当工事の増加に伴って限られた時間でのリスク確認が求められているほか、担当者の経験による判断のばらつき抑制や過去の工事知見の活用が課題となっていた。経験の長短に関わらず危険項目の抜け漏れを検討する材料を提供することで、リスクアセスメントの標準化と高度化を図る。
過去の知見を検索し最終判断は人が実施
システムは、OCRによる施工計画書の読み取り、RAGによる関連ドキュメント検索、Azure OpenAIを活用したリスク抽出支援を組み合わせて構築された。施工計画書や関連情報をもとに危険項目の確認を支援し、リスク採点、低減対策の表示、回答へのフィードバック機能を備えている。
AIは担当者や責任者の確認・承認を代替するものではなく、現場の条件と照合して最終的に人が判断することを前提としている。利用時には、AIが出力した危険項目の過不足を人が確認したうえで、危険度の採点や対策の検討、対策後の危険度評価を行う流れを想定している。初期の検証では送電鉄塔工事を対象に網羅性と正確性を評価し、入力パラメータの追加や画面改善、検証環境からJ-POWER環境への移管を経て段階的な改善が進められた。
検証で再現率が8.7ポイント改善、生成数を約13.4%削減
2026年7~9月の精度検証では、鉄塔基礎・鉄塔組立・伐採の3工種の共通テストにおける比較において、正解リスクを抽出できた割合を示す再現率が67.6%から76.3%へ8.7ポイント向上した。また、抽出したリスクのうち正解と一致する割合を示す適合率は35.0%から46.1%へ11.1ポイント改善した。1件のリスクアセスメントあたりの生成数は145.8件から126.3件となり、約13.4%減少した。
なお、これらの数値は報告書に記載された対象工種やテスト条件に基づく結果であり、全工種・全業務での効果を示すものではない。改善案の一部は再現率が低い施工計画を抽出したミニマムデータセットで検証されており、生成数の減少は確認作業時間の削減率を示すものではなく、労働災害の減少や安全性の向上を定量的に実証した結果でもないとしている。検証は、人が確認可能な出力量と有用なリスク抽出の両立を目的として位置づけられている。
今後の展開と会社概要
採用された構成は本番環境へ反映されており、実業務での活用を支える改善が続けられている。今後は対応工種や対象ドキュメントの拡充、追加データの分析を進め、J-POWER担当者のフィードバックを踏まえながら支援内容の高度化と活用範囲の拡大を目指す方針だ。株式会社ヘッドウォータースは、安全性が重視される業務での知見を生かし、電力・エネルギーをはじめとする社会インフラ領域でのAI活用展開を推進し、中長期的な事業機会の拡大につなげるとしている。
株式会社ヘッドウォータースの概要は以下の通り。
- 会社名:株式会社ヘッドウォータース
- 所在地:〒163-1304 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー4階
- 代表者:代表取締役 篠田 庸介
- 設立:2005年11月
- URL:https://www.headwaters.co.jp/
本記事は株式会社ヘッドウォータースの発表をもとに作成。
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