ドコモ、対話型AI向け評価指針や高EQを実現する4つの要素技術を開発
株式会社NTTドコモは、個々のユーザの状況や文脈に配慮した音声対話を実現するため、AIに感情指数(EQ)の要素を付加する評価指針「AI EQ+1 Framework」および共通設計図「EQリファレンスアーキテクチャ」を策定した。あわせて、EQの高い対話を実現するための4つの要素技術を開発した。既存のAIモデル本体を作り直すことなく付加することで、声色や話の内容から相手の状況を察した自然な対話の実現をめざす。
感情に配慮する評価指針と共通設計図を策定
従来の対話型AIは正確さや速さといった機能的価値を中心に進化してきた一方、共感や状況への配慮といった情緒的価値の評価方法が確立されておらず、機械的な応答や不適切な迎合が生じる課題があった。
これに対し、新たに策定された「AI EQ+1 Framework」は、AIが相手や場に配慮してどう振る舞ったかを評価する指針である。基本性能(応答速度など)、安全性・誠実性(合否で判定)、体験の質(相手への寄り添い、場への適応、キャラクタの一貫性)、利用による成果(愛着や継続利用)の4つの層で構成され、タスク解決を目的としない雑談や相談の場面でも対応を評価できる。
また、対話型AIにEQの要素を組み込むプロセスを定めた共通設計図として「EQリファレンスアーキテクチャ」も策定された。大規模言語モデル(LLM)の外側に「EQ入力」「EQコントローラ」「EQ出力」「EQガードレール」「EQ自律改善」を配置することで、AIの中核を作り直さずに迅速な改善を可能にする。
高EQな対話を実現する4つの要素技術
ドコモは「EQリファレンスアーキテクチャ」を実際の音声対話で機能させるため、以下の4つの要素技術を開発した。
- ユーザの状態を判断するルールを自動作成する技術:開発者の日常的な指示から、表情や声のトーン、話の内容に応じた判断ルールをLLMが自動生成する。音声認識にNTT株式会社の「VoiceOmnia®」、表情や声のトーンの認識などに「MediaGnosis®」を搭載したNTTテクノクロス株式会社のAPIサーバ「SpeechRec®」を採用している。
- 会話の不自然な「間」をなくすレスポンス高速化技術:ユーザの発話中から応答準備を進めることで沈黙を解消する。音声合成にはNTTの技術を、LLM処理にはNTT版大規模言語モデル「tsuzumi®」を活用している。
- 安全性と共感を両立するEQガードレール技術:場面や状況に合わせて同調と禁止のラインを判断し、寄り添いと安全性を両立させる。
- 使えば使うほど対話品質を高めるEQ自律改善技術:対話ログを活用し、サービスごとに求められる配慮に沿って応答の質を継続的に向上させる。

成人対象の実証実験で継続利用意向の向上を確認
ドコモは2026年8月~10月に成人約40名を対象とする実証実験を実施し、EQの要素を取り入れた対話設計により利用者の継続利用意向が高まる傾向を確認した。


初対面・単発の対話を比較した実験では、EQの要素を取り入れたAIにおいて、発話が短めにもかかわらず参加者の発話量が1回あたり約58字から約83字へと約1.4倍に増加した。アンケートでは「受け止め(共感)」において14名がEQありをより良かったと回答した。また、10日間の継続利用実験においても、EQありの対話型AIは利用を重ねるにつれて評価が上昇し、10日目にはEQなしの評価を上回る結果となった。


今後の展開と技術展示
ドコモは評価指針や共通設計図、実証実験の詳細をまとめた「AI EQ+1 Framework Whitepaper v1.0」を公開した。今後は自社サービスへの適用や社外パートナーとの共創を通じ、カスタマーサポート、介護、教育、エンタメなどの分野で安心感や信頼感をもたらす対話型AIの社会実装を進めるとしている。
なお、本技術は2026年11月18日(水)~20日(金)、24日(火)~25日(水)にNTT武蔵野研究センタで開催予定の「NTT R&D FORUM 2026」に出展される予定だ。

本記事は株式会社NTTドコモの発表をもとに作成。

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