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レゾナックとZenmuTech、秘密計算活用で物性予測誤差を約78%減少

株式会社レゾナック・ホールディングスは、株式会社ZenmuTechが開発する秘密計算ライブラリ「QueryAhead®」を採用し、機密データを開示せずに企業間で材料開発データを活用できるMI(マテリアルズ・インフォマティクス)基盤を構築しました。サプライヤーである化学メーカーA社の協力のもとで実施した共同実証では、各社が保有する機密性の高い材料開発データを開示することなく解析に活用できることを確認しています。実際の材料開発テーマにおいて双方のデータを持ち寄って解析した結果、単独のデータを用いた場合と比較して、物性の予測誤差を約78%減少させました。

秘密計算技術によるMI基盤構築の背景

近年、材料開発の高度化に向けて実験や計算データを統計や機械学習で解析するMIの活用が進む一方、化学業界では実験データや評価データが競争力の源泉となっており、企業間でのデータ共有には大きな制約が存在していました。例えば半導体用材料の開発では、原材料を供給するサプライヤー側のデータと、配合条件や評価結果を持つ製品開発側のデータを突き合わせて解析することが予測精度の向上に有効であるものの、秘密保持契約を締結しても開示できない情報が残るため、複数社にまたがる定量的な検討が難しい状況が続いていました。

こうした課題に対し、株式会社レゾナック・ホールディングスの計算情報科学研究センターは2023年から株式会社ZenmuTechと連携を開始しました。国立研究開発法人産業技術総合研究所による理論研究を礎に株式会社ZenmuTechが実用化した秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」を活用し、材料開発に必要な解析手法の設計と実装を推進してきました。採用されている秘密分散にもとづく方式は、2024年3月に国際規格ISO/IEC 4922-2として発行され、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期においても社会実装が進められています。なお、基盤に実装した主成分分析や回帰分析などの知見は、2026年3月の電子情報通信学会総合大会において発表されました。

共同実証は、半導体の基幹材料に関する開発テーマを対象に実施されました。化学メーカーA社が保有する材料の物性データと、株式会社レゾナック・ホールディングスが保有する配合条件および評価結果を、互いに開示しないまま基盤上で結合して解析を行いました。

その結果、秘密計算環境上で行った主成分分析と線形回帰は通常環境の解析結果を再現し、両社のデータを結合した予測モデルでは流動性に関する物性の予測誤差が株式会社レゾナック・ホールディングスのデータのみの場合に比べて約78%減少しました。得られた回帰係数は化学メーカーA社の研究者からも既存知見と整合すると評価されたほか、構築した予測モデルにより未評価サンプルの物性値を評価実験前に見積もれることも確認されています。

企業間データ連携の意義と今後の運用展開

材料開発分野において企業間の機密保持とデータ利活用を両立させる本基盤について、株式会社レゾナック・ホールディングス執行役員CTOの福島 正人氏は、企業どうしが機密を守りながらデータに基づいて議論し、開発の方向性を早い段階で見極める進め方が共同開発の中に自然に組み込まれていくことに期待を寄せています。また、株式会社ZenmuTech代表取締役社長CEOの阿部 泰久氏は、組織間で機密データを開示することなく安全に分析して物性予測の精度向上につなげた成果を、秘密計算技術を社会に広げる大きな一歩としています。国立研究開発法人産業技術総合研究所サイバーフィジカルセキュリティ研究部門首席研究員の花岡悟一郎氏も、材料化学分野における秘密計算の社会実装が加速することに期待を示しました。

今後は実運用に向けて、計算結果の開示範囲や開示先といった企業間でデータを持ち寄る際の運用ルールをシステムと契約の両面から整備するとしています。あわせて、今回の実証テーマ以外へも対象を広げて活用事例を積み上げる方針です。

発表企業等の概要

  • 株式会社レゾナック・ホールディングス

社長:髙橋秀仁 概要:2023年1月に昭和電工と旧日立化成が統合して発足した機能性化学メーカー。2025年度の半導体・電子材料の売上高は約5,000億円に上る。 ウェブサイト:https://www.resonac.com/jp/ お問い合わせ先(ブランド・コミュニケーション部 メディアリレーショングループ):pr_med@resonac.com

  • 株式会社ZenmuTech

社長:阿部泰久 概要:秘密分散技術を用いたZENMU EngineやZENMU Virtual Driveなどの自社製品を展開するほか、産総研との協働による研究や社会実装に向け、秘密計算データベースプラットフォーム「QueryAhead®」を提供。 ウェブサイト:https://zenmutech.com/ お問い合わせ先(IR担当):ir@zenmutech.com

本記事は株式会社レゾナック・ホールディングスおよび株式会社ZenmuTechの発表をもとに作成されています。

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