Craifと国内7医療機関、尿解析による多がん早期検出の研究成果を発表
バイオAIスタートアップのCraif株式会社は、国内7医療機関との共同研究成果として、尿中のマイクロRNA、small RNA、N1,N12-ジアセチルスペルミン(DiAcSpm)のマルチモーダル解析による多がん早期検出に関する発表を行いました。発表は2026年9月24日から26日に国立京都国際会館で開催された「第85回日本癌学会学術総会」で実施されました。本研究では、単一の尿検査によって複数のがん種を高精度に検出できる可能性が示されています。
尿中バイオマーカーの統合解析で進行期の検出精度が向上
研究では、膵臓・肺・胃・食道・大腸・腎臓・尿路上皮・乳房・卵巣・前立腺の10がん種を対象とした統合検出モデルを検証しました。その結果、small RNAモデルに尿中DiAcSpm値を統合することで、全体のAUCは0.02、進行期(Stage III/IV)に限るとAUCは0.05向上しました。
DiAcSpmはがん種非特異的に10がん種全てで上昇がみられ、検出力が上がる進行期においてsmall RNAと相補的に働くことで検出精度の向上に寄与することが示されました。さらに、5年生存率70%以下の5がん種(膵臓・肺・食道・尿路上皮・卵巣)に対象を絞った場合、進行期(Stage III/IV)のAUCはさらに0.04向上したとしています。
加えて、各がん種につきRNAクラスごとに最も差次発現するsmall RNA分子を選定した計36特徴量において、がん種ごとに特異的に発現するsmall RNA分子が観測されました。これにより、将来的に陽性判定後の原発巣(Tissue of Origin)推定に応用できる可能性が示唆されています。
国立がん研究センターの『がんの統計2026』によると、日本では年間約100万人ががんと診断され、約38.4万人ががんで亡くなっています。一方で現行のがん検診がカバーするのは診断数の約50%にあたる5がん種にとどまり、膵臓がんなどは検診の対象外となっているほか、受診率も政策目標の60%に届いていない状況があります。
こうした背景のもと実施された今回の研究では、10がん種のがん患者1,120名および非がん対照268名の計1,388名から尿検体を収集し、多がん種早期検出(MCED)モデルの開発が行われました。細胞外小胞(EV)濃縮後にSmall RNA-seq(miRNA+tRF/tRNA/piRNA)およびDiAcSpmのELISA測定を実施し、多重カーネルSVMモデルを用いてRNAにはRBFカーネル、DiAcSpmには線形カーネルを適用して最適に重み付け統合しました。性能評価にはネステッド交差検証によるout-of-foldスコアが用いられています。
共同研究を実施した国内7医療機関
今回の研究成果は、Craif株式会社と以下の7医療機関(順不同)による共同研究に基づいています。
- 医療法人社団慈昂会 白石内科クリニック
- 医療法人北武会 美しが丘病院
- 公益財団法人仙台市医療センター 仙台オープン病院
- 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学医学部附属病院
- 弘前大学医学部附属病院
- 社会医療法人北海道恵愛会 札幌南三条病院
- 三重大学医学部附属病院
Craif株式会社の概要
Craif株式会社は、独自の解析技術基盤「NANO IP®︎」とAI技術を融合し、がんの早期発見に向けた検査開発を行う企業です。
- 社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)
- 代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
- 設立:2018年5月
- 資本金:1億円(2024年3月1日現在)
- 事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、自宅でかんたんがんリスク検査「マイシグナル®︎」の提供
- 本社:東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F
- URL:https://craif.com/
本記事はCraif株式会社の発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



