Dellows News

日立、データセンターの冷却電力を30%削減見込むGPU用プレートを試作

株式会社日立製作所は、生成AIの普及に伴い増大するデータセンターの電力消費量を低減するGPU冷却用コールドプレートを開発しました。独自の「U字トンネル流路」構造を採用した試作プレートにより、冷却に必要な電力を30%削減できる見込みを得ています。本成果の一部は、2026年10月26日から29日に米国サンディエゴで開催されるInterPACK2026で発表される予定です。

開発の背景と冷却における課題

生成AIの急速な拡大に伴い、GPUを大量に搭載したデータセンターが増加しており、GPUの冷却は運用品質と電力効率を左右する要素となっています。データセンターでは、GPUで発生した熱をコールドプレート内の冷却液で回収し、チラーや冷却塔などを用いて外気へ放出するため、演算処理だけでなく冷却設備でも多くの電力が消費されます。

近年は45℃程度の冷却液を用いる高温水冷却への期待が高まっていますが、従来の構造では冷却液をGPU面に沿って流すため、流路後半で温度が上昇し、発熱部へ均一に供給しにくい課題がありました。また、伝熱面積を増やすために流路を細かくすると圧力損失が増加し、循環ポンプの動力が増大するという問題も生じていました。

独自の「U字トンネル流路」構造の特徴

今回日立が開発したコールドプレートは、冷却液をGPUの発熱部へ向かって厚み方向に流す独自の「U字トンネル流路」構造を採用しています。主な特徴は以下の通りです。

  • 冷却液をGPU発熱部近傍へ向かって流し、熱を吸収した後にUターンさせて排出することで、入口側の冷たい冷却液と温まった出口側の冷却液の混合を防止
  • 1本あたりの流路を短くして摩擦を抑制し、数千本の微細な流路を多並列に配置することで流路断面積を確保し、圧力損失を低減

実測で確認された冷却効果と試算結果

試作したコールドプレートを用いた実測では、冷却液流量4 L/minの条件において、熱抵抗0.011 K/W、圧力損失27.6 kPaを記録しました。これにより、従来構造に対して同じ冷却動力でより高い冷却性能が得られることを確認したとしています。

高い温度の冷却液でもGPUを所定温度以下に冷却できるため、外気を活用して放熱できる期間が拡大します。東京など代表的な都市の外気温度条件を用いて年間のチラー稼働率の変化を試算した結果、外気への放熱に必要な冷却電力を30%削減できる見込みとなりました。なお、この削減値は特定地域のデータセンターとその外気温度を仮定した設備稼働率の変化から算出したものであり、条件により結果は異なります。

今後の展開とソリューション連携

日立は今後、今回開発したコールドプレートを起点にポンプやチラー、配管を含む冷却設備全体の高性能化を進める方針です。また、デジタルサービス「HMAX Data Center」と連携させることでデータセンターの運用効率向上を図り、持続可能なデジタル社会インフラの構築に貢献するとしています。

なお、同社は2025年度(2026年3月期)売上収益が10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。本件に関する問い合わせは、研究開発グループの問い合わせフォーム(https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/news/jp/form.jsp)にて受け付けています。

本記事は株式会社日立製作所の発表をもとに作成。

アクセスランキング

今日

1週間