障害福祉事業所の54.8%が赤字に 8団体が報酬改定に向け緊急要望を提出
公益財団法人 日本知的障害者福祉協会や社会福祉法人 全国社会福祉協議会など障害福祉関係8団体は、障害福祉分野の幅広い職種の賃上げ及び障害福祉事業所の経営状況等調査の結果を公表しました。調査によると、直近単月となる令和8年6月の経営状況で54.8%の事業所が赤字となっている実態などが明らかになりました。
8団体は深刻な現場の実態を踏まえ、令和9年度障害福祉報酬改定における処遇改善の抜本的な拡充や物価高騰対策支援などを求める緊急要望を国に表明しています。
賃上げ進むも全産業との格差は継続
令和8年度の賃上げ額は正社員1人あたり平均月額13,433円、うちベア分は8,312円となり、事業所における賃上げやベースアップは一定進んでいます。
一方で、全産業(春闘)との賃上げ率の差は前年度比でわずかに縮まったものの、依然として0.27ポイントの開きがあります。厚労省資料によると障害福祉関係分野の賃金は全産業平均を7.7万円下回るとされており、依然として大きな賃金格差が残っている状況です。
食費や光熱水費が高騰し施設持ち出しに

物価高騰の影響は特に食費において顕著に表れています。令和8年6月の給食関係費は1事業所あたり平均月額で材料費が122.5万円、調理員人件費が104.7万円、業務委託費が199.6万円となり、いずれも前々年・前年の同月と比べて毎年高騰しています。
施設入所支援を実施する施設および福祉型障害児入所施設における1人あたり平均月額の負担は、食費が43,607円、光熱水費が18,521円で合計62,128円となりました。国が設定する基準費用額55,500円を大きく上回っており、不足分は施設が費用を持ち出している状況が浮き彫りになりました。
5割超が赤字経営に転落


令和8年6月の経営状況では、障害福祉事業所の54.8%が赤字となっており、前年同月からも増加しました。事業所の半数以上が厳しい収支状況に直面しています。
処遇改善や物価対策を国に緊急要望


8団体は、障害福祉事業所が必要な人材を確保し、障害のある方に質の高い福祉サービスを継続していくため、国に対して次の4点を緊急要望として提示しました。
- 全産業と遜色ない処遇水準に向けた報酬等の引き上げと処遇改善施策の制度間一元化
- 食費等の物価高騰に対応するための財政支援の拡充
- 報酬への賃金スライド制・物価スライド制の導入
- 障害福祉事業の安定継続に向けた経営基盤の確保と施設整備支援の強化

調査概要と実施団体

- 調査名:障害福祉分野の幅広い職種の賃上げ及び障害福祉事業所の経営状況等調査
- 調査期間:2026年9月18日~10月5日
- 回答数:1,731事業所
- 実施団体:公益財団法人 日本知的障害者福祉協会、社会福祉法人 全国社会福祉協議会(全国社会就労センター協議会、全国身体障害者施設協議会、全国社会福祉法人経営者協議会、全国身体障害者福祉施設協議会)、特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会、一般社団法人 全国介護事業者連盟、一般社団法人 全国児童発達支援協議会
本記事は障害福祉関係8団体の発表をもとに作成しました。

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