ART(生殖補助医療)出生児は過去最多8万6,473人、約8人に1人に
2024年のART出生児は過去最多の8万6473人、出生児全体の約12.6%に
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厚生労働省の統計で2024年の日本の出生数が過去最少を記録する一方、日本産科婦人科学会のデータブックにより、体外受精などの生殖補助医療(ART)によって生まれた子どもが過去最多を更新したことが分かりました。単純計算では出生児全体の約12.6%、およそ8人に1人を占める規模に達しています。治療の選択肢や患者背景が広がる中、一般社団法人JISART(日本生殖補助医療標準化機関)は、治療実績の数値だけでなく安全体制や倫理的配慮といった医療の質を捉える重要性を示しています。
出生数が過去最少となる一方、ART出生児は8万6,473人に増加

厚生労働省「2024年人口動態統計(確定数)」によると、2024年の出生数は前年の72万7,288人から4万1,115人減少し、68万6,173人となりました。これは1899年の人口動態調査開始以来で過去最少となり、合計特殊出生率も過去最低の1.15を記録しています。
対照的に、日本産科婦人科学会の「2024年ARTデータブック」では、ARTによって生まれた子どもが8万6,473人となり、過去最多を更新しました。出生数と比較した単純計算では、出生児全体の約12.6%に相当します。2024年のART総治療周期数は55万265周期で、前年の56万1,664周期から減少しています。ARTでは採卵周期と凍結胚を移植して妊娠・出産に至る時期が異なる場合があるため、単年度の治療周期数と出生児数のみで治療効率の向上と評価することはできず、患者背景などを含めてデータを捉える視点が求められています。
治療の多様化を受けた症例登録システムの改定とデータ収集
PGT(着床前遺伝学的検査)や卵子凍結など治療法の広がりを受け、日本産科婦人科学会は「日本における診療実態をより正確かつ包括的に把握すること」を目的として、2026年1月から「ART症例登録システム」の登録項目の一部を見直しました。PGTの適応拡大や二段階胚移植といった近年の変化に対応し、治療件数だけでなくどのような治療が行われたかを詳細に把握する方向へ進んでいます。
生殖補助医療の標準化を進めるJISARTでも、2010年分より臨床成績の収集を継続しており、日本産科婦人科学会の登録項目に加え独自の項目も設けています。なお、2024年分のJISART臨床成績は2026年7月15日公開のプレスリリースで公開されています。
結果だけでなくプロセスも含めた「医療の質」の重視
生殖医療において妊娠率や生産率といった治療成績は欠かせない指標であるものの、それだけで質が決まるわけではないとされています。安全な診療体制の整備、胚培養を行うラボの品質管理、患者への十分な情報提供、心理的支援や倫理的配慮、さらには治療後や出生後までのフォロー体制なども重要な要素です。
JISARTでは、新しい生命の誕生に関わる医療として、結果だけでなくどのような医療と支援が提供されたかというプロセスも含めて質を考えることが重要であるとの見解を示しています。
生殖補助医療の標準化に向けたJISARTの取り組み
2003年3月に設立されたJISARTは、加盟施設を対象とした施設認定・審査や臨床成績の集計・公開、出生児の予後調査、専門職向け教育などを継続しています。施設認定では医師だけでなく、看護、ラボ、心理、医療事務など多角的な視点から安全性やプライバシー、診療体制を確認しています。
さらに2024年度からは、各施設が客観的な状況把握から改善を図るため、施設間の培養成績の集計も新たに開始しました。JISARTは今後も、多角的な視点から生殖補助医療の質を捉え、患者が安心して治療を選択できる環境づくりや医療全体の品質向上に貢献していくとしています。

JISART概要
- 名称:一般社団法人JISART(日本生殖補助医療標準化機関)
- 設立:2003年3月
- 代表者:理事長 絹谷 正之
- 本部:大阪府大阪市北区曽根崎新地二丁目6番23号 MF桜橋ビル5F
- ウェブサイト:https://jisart.jp/
本記事は一般社団法人JISARTの発表(厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」、日本産科婦人科学会「2024年ARTデータブック」の公表データを含む)をもとに作成しました。
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