FLOSFIAが6インチ酸化ガリウム成膜に成功 既存ラインでの早期量産へ
京大発スタートアップの株式会社FLOSFIAは、酸化ガリウム(α-Ga₂O₃)パワー半導体において、6インチ(150mm)サファイア基板上でのエピタキシャル成膜に成功し、膜厚の面内ばらつき約±3%を達成した。6インチは炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の量産で主流の口径であり、パートナーは既存の6インチ量産ラインを活用して早期に量産を立ち上げることができる。同社は本成果を足がかりに、「ポストSiC」の本命として酸化ガリウムパワー半導体の社会実装を加速させる構えだ。

6インチ基板への成膜で目標精度を達成

パワー半導体産業では、ウェハ口径の拡大によって1枚あたりのチップ取得数を増やし、製造コストを下げる取り組みが進められている。SiCでは6インチが量産の主流で一部メーカーでは8インチへの移行が始まっており、シリコン(Si)系パワー半導体では8インチ(一部12インチ)のラインが主流となっている。新材料の採用には、こうした既存の量産ラインへの適合が重要な条件とされる。
FLOSFIAは今回、独自のミストドライ®法に改良を加え、6インチサファイア基板上にα-Ga₂O₃エピタキシャル膜を成膜した。膜厚の面内ばらつきは約±3%となり、初期実用化レベルの目標としていた±4%以下を達成した。クラックがなく、異物欠陥の少ない良好な膜が得られているという。
6インチ化により、1枚のウェハから取得できるチップ数は4インチの約2.2倍(面積比)となり、エピタキシャル成膜だけでなくデバイス前工程全体でチップあたりの製造コストが下がる。また、6インチサファイア基板はLED産業向けに大量に流通しているため、安価かつ安定的な調達が可能である。既存の6インチラインを持つSiCや窒化ガリウム(GaN)-LEDのメーカーであれば、設備投資済みの前工程装置を使えるため、新規投資を抑えて早期に量産を立ち上げられる。
さらに、3インチ、4インチ、6インチの膜厚の面内ばらつきを比較した結果、口径が大きくなるほどばらつきは増えるものの、その増え方は緩やかになる傾向が確認された。この傾向から、8インチ(200mm)でも面内ばらつきを±4%以下に抑えられる見込みとしている。

今後の展開と社会実装への方針
FLOSFIAは今後、2026年中に8インチサファイア基板上での成膜実証を進めるとともに、大口径成膜で得た知見をMOSFETをはじめとするGaO®パワーデバイスの開発やパートナーとの量産プロセス構築に活かす計画だ。あわせて、技術資産のライセンス提供やエピタキシャルウェハ供給を通じてパートナーシップを広げ、EV・AIデータセンター向け電源などへの早期の社会実装を目指す。
代表取締役社長の天田健嗣氏は、今回の成果について「パートナーの皆様の量産ラインでGaO®パワーデバイスを量産していただくための重要な一歩です」とコメントし、8インチ化とMOSFETの性能実証を加速する意向を示している。
なお、本研究成果の一部は、防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度(JPJ004596)」の支援を受けて実施された。
株式会社FLOSFIA 概要
- 会社名:株式会社FLOSFIA(フロスフィア)
- 所在地:京都市西京区御陵大原1番29号
- 代表取締役社長:天田 健嗣
- 設立:2011年3月31日
- 資本金:42億850万円(資本準備金含む)
- 事業内容:酸化ガリウムパワーデバイスの研究・製造・販売等
- URL:https://flosfia.com
本記事は株式会社FLOSFIAの発表をもとに作成されています。

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