文京学院と武蔵野大、生成AIで江戸小紋の新作図案開発

文京学院大学と武蔵野大学データサイエンス学部が共同で、伝統工芸品「江戸小紋」の図案制作に生成AI関連技術を活用する研究を行っている。江戸小紋は、極めて細かく小さな柄付けが特徴の型染による染物だが、図案家の減少や制作理論の伝承困難などの理由から、新作図案の誕生が難しい状況にあった。

文京学院大学経営史研究ゼミでは、江戸小紋の古い作例からマーケティング調査を行い、従来は暗黙知に留まっていた図案の制作理論を体系化。武蔵野大学は、その理論に基づいてデザインモチーフを自動配置する独自のアルゴリズムを生成AI関連技術で見出すことに成功した。

特に、小さなモチーフをランダムに配置する「けれんもの」と呼ばれる昔ながらの形式は、図案の構成が非常に難しく、新作がほとんど生まれていなかった。本研究では、先人たちが積み重ねてきた技術をアップデートしながら次世代に継承していくことを目的とし、江戸小紋市場の再活性化を目指している。

現在、研究成果を形にするべく、東京都伝統工芸士と連携して江戸小紋新商品の発表に向けた準備を進めているという。日本の代表的な染色技法である江戸小紋の伝統を、最新のテクノロジーで守り、発展させる取り組みとなるかもしれない。