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スペースデータCSOの研究成果 MMXでの火星物質分析の意義を解説

株式会社スペースデータは、最高科学責任者(CSO)を務める惑星科学者の兵頭龍樹博士が筆頭著者として発表した研究の内容と意義を公表しました。同研究は、火星の衛星フォボスの表面に火星由来の物質がどの程度含まれるかを数値シミュレーションで見積もったものです。2026年10月20日には、フォボスの砂を地球に持ち帰る宇宙航空研究開発機構(JAXA)の火星衛星探査計画「MMX」の探査機打ち上げが予定されています。

火星衛星探査計画MMXと研究の背景

MMX(Martian Moons exploration)は、JAXAが進める火星衛星探査計画です。探査機は2026年10月20日にH3ロケット10号機で種子島宇宙センターから打ち上げられ、2027年に火星の周回軌道に到着したあと、フォボスに着陸して10g以上の砂(レゴリス:天体の表面を覆う砂やちり)を採取し、2031年に地球へ帰還する予定となっています。NASA、ESA、CNES(フランス国立宇宙研究センター)、DLR(ドイツ航空宇宙センター)も参加する国際的な探査計画です。

火星に小天体が衝突すると砕けた岩石が宇宙空間に飛び散り、その一部がフォボスに降り積もると考えられています。採取して持ち帰る試料に火星の物質がどれだけ、どのような状態で含まれるかを見積もることは、MMXの試料分析を計画するうえで重要な課題のひとつとされています。兵頭博士らの研究グループは、飛び散る岩石(イジェクタ:衝突で放出される破片)の量と軌道を数値シミュレーションで計算し、フォボスに届く量と粒子が受ける衝撃の強さを過去5億年分にわたって見積もりました。研究成果は2019年12月27日に国際学術誌「Scientific Reports」に、2021年8月13日に「Science」に掲載されています。

研究によると、過去5億年の間に火星からフォボスに届いた物質は、フォボス表面の砂の中で中央値として約1,700ppm(約0.17%)を占めると見積もられました。保守的な見積もりでも340ppm(0.034%)以上となり、大規模な衝突による寄与を加えるとおおむね0.1%前後の割合になります。この割合をMMXが持ち帰る10gの試料に当てはめた場合、粒子の大きさを0.3mmと仮定すると、火星由来の粒子が少なくとも約34個含まれる計算になります。

また、フォボスに届く火星の物質が受ける衝撃は5GPa未満と地球に落ちる火星隕石に比べて弱いため、壊れやすい堆積岩なども元の性質を保ったまま残っている可能性があります。火星の多様な地質時代や、堆積岩から火星岩までの岩石が含まれうることも示されました。さらに、滅菌・強い放射線照射を受けた遺伝子断片や生命の痕跡「SHIGAI(Sterilized and Harshly Irradiated Genes, and Ancient Imprints)」が残されている可能性も指摘されています。

スペースデータでは、天体衝突による破片の軌道や衝撃を計算する物理シミュレーションの知見を生かし、デジタル空間上で物理現象を再現する技術の開発を進めています。宇宙空間における物体の軌道や衝突、宇宙線による影響の検証をはじめ、惑星探査データを用いて月や火星などの天体をデジタル空間上に再現する「太陽系デジタルツイン」の構築を推進しています。

さらに、これらの物理シミュレーション技術を、衛星の軌道や宇宙ごみ(デブリ)との衝突リスク評価、都市のデジタルツイン上での物体の衝突・飛散再現による防災・都市計画への活用、ロボットなどのフィジカルAIを学習させる仮想環境の提供など、産業分野へ広げていく方針です。

株式会社スペースデータについて

東京都港区虎ノ門に拠点を置く株式会社スペースデータは、代表を佐藤航陽氏が務めるテクノロジースタートアップです。

  • 社名:株式会社スペースデータ
  • 代表:佐藤 航陽
  • 所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
  • 資本金:15億1300万円
  • 事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
  • HP:https://spacedata.jp

本記事は株式会社スペースデータの発表をもとに作成しています。発表内容は同社CSOが過去に発表した研究成果を紹介したものであり、MMXの観測結果やJAXAの公式見解を示すものではありません。また、MMXの打ち上げ日程は2026年10月時点の予定です。

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