Patentix、ルチル型GeO₂結晶によるショットキーバリアダイオード動作を世界で初めて確認
株式会社クオルテックの資本業務提携先であるPatentix株式会社は、ルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO₂)単結晶薄膜上にショットキーバリアダイオードを形成し、その動作を確認することに世界で初めて成功した。これはr-GeO₂で実現された世界初の半導体デバイスであり、r-GeO₂パワー半導体デバイスの実現に向けた重要な一歩だ。
現在、家電製品や電気自動車のモーターに使用される電力は、パワー半導体を用いた電力変換回路で変換されている。電力変換の際に発生する熱は電気エネルギーの損失であり、脱炭素社会の実現において重要な課題となっている。従来のシリコン(Si)に代わり、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を用いたパワー半導体デバイスへの置き換えが進んでいるが、r-GeO₂はSiCを上回る省エネ効果が期待されている。
Patentixは、N+層のr-GeO₂結晶膜上に1×10の17乗[cm-3]程度のドナー不純物を導入したN-層のr-GeO₂結晶の成膜に成功し、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)との共同研究を通じて、ショットキーバリアダイオード(SBD)の動作を確認した。絶縁性TiO₂基板上にN+のr-GeO₂単結晶膜を成膜し、その上にN-のr-GeO₂単結晶膜を成膜。NIMSがN-層をドライエッチングしてN+層を露出させ、電極を成膜・形成することで疑似縦型構造のSBDを形成し、その電流電圧特性を評価した。
評価の結果、試作したr-GeO₂ SBDがダイオード動作することが確認され、ON/OFF比は7桁を示し、良好な整流特性が得られた。また、容量電圧測定によってN-層のドナー不純物濃度が約1×10の17乗[cm-3]であることが確かめられた。
今回の成果に基づいて、Patentixはr-GeO₂の半導体デバイスの開発をさらに加速させる。次に縦型構造のSBDの実現を目指すとともに、結晶膜の高品質化や半導体デバイスの応用を広げる上で必須となるP型の実現にも引き続き取り組んでいく。