芸能プロ倒産が過去5年最多に、YouTuberの台頭など要因

帝国データバンクによると、2023年に芸能プロダクションの倒産が合計12件発生し、前年の4件から3倍に増加したほか、過去5年間で最多となった。芸能人やタレントのマネジメントを行う芸能プロは、近年テレビ局の制作費削減による出演料の減少や番組の整理・終了といった状況に直面している。さらに、SNSの台頭でYouTuberやインフルエンサーとして活動する個人が増え、新人タレントの発掘も難しくなっている。

こうした逆風の中、昨年はVRアイドルグループ「えのぐ」などが所属していた岩本町芸能社(千代田区)が廃業を発表し、A.L.C.Atlantis(港区)など有名事務所が破産した。今年に入ってもタレントの壇蜜さんが所属するフィット(渋谷区)が破産、女優の吉岡里帆さんが所属するエー・チーム(港区)が休業を発表するなど、芸能プロの行き詰まりが表面化している。

倒産や廃業の要因としては、所属タレントの独立や創業者の死去・体調不良といった社内事情も挙げられる。芸能プロは、多忙なタレントの活動をサポートするマネジメントに加え、トラブル対応などの役目も担っており、その存在意義は大きい。事務所に所属するメリットをタレントにアピールできるかが、芸能プロ各社の手腕が問われている。