宇宙ベンチャーcosmobloom、JAXAと共同研究開始
宇宙空間での大型構造物の実現を目指す株式会社cosmobloom(本社:東京都大田区)は、JAXA宇宙構造物システム研究室と共同研究を開始したと発表した。また、HERO Impact Capital 1号投資事業有限責任組合を引受先とするJ-KISS型新株予約権による資金調達を実施したことも明らかにした。
cosmobloomは、日本大学理工学部航空宇宙工学科宮崎研究室を前身とした企業で、膜やケーブルといった極めて柔軟な構造(ゴッサマー構造)を用いた宇宙構造物に係る解析・設計・開発を担っている。同社のコア技術は、ゴッサマー構造の解析技術である非線形弾性動力学解析コードNEDAだ。NEDAは、2010年にJAXAが打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSの膜面展開シミュレーションに利用され、世界初のソーラーセイルを主推進装置とした惑星間航行の成功に貢献した実績がある。
今回の資金調達では、宇宙空間での大型柔軟展開構造物の実証を兼ねた、超小型衛星向け0.25Uデオービット装置(宇宙ゴミ対策品)の開発を進める。さらに、2030年頃には携帯電話やPCなどの端末との直接通信に利用可能な数m級膜面アンテナの開発も予定している。cosmobloomは、これらの開発の先に柔軟展開構造物を用いた2.5km級宇宙太陽光発電システム(SSPS)の実装を目指している。
創業者の福永桃子代表取締役は、「これまでの研究で培ってきた柔軟構造物の解析・設計ノウハウをコア技術とし、未来の宇宙構造物実現に向けた事業を展開しております。常に美しくをモットーに、今後の宇宙開発で多くの花を咲かせられるよう、日々精進して参りたいと思います」とコメントしている。
また、技術顧問の宮崎康行教授(JAXA宇宙科学研究所)は、「cosmobloomのワクワクするところは、実現してほしいとみんなが思っているけれども、難しそうなので誰も手を出そうとしないことに、正面から挑戦している点です。軽くて大きく拡がる構造物で、世界を豊かにしていってほしいと思いますし、そのための技術的なバックアップができることを楽しみにしています」と期待を寄せている。