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レナテックと筑波大学、微量元素8種類の血清基準範囲を1万7千人データから提示

株式会社レナテックと国立大学法人筑波大学は、国内10施設の成人17,523人の血清データを解析し、8種類の微量元素における年齢別・男女別の血清基準範囲を提示しました。本研究は、共創の場「つくばデジタルバイオ国際拠点」の支援を受け、両者が2021年10月より開始した「生体中の微量元素の網羅的測定による診断補助技術に関する共同研究」の成果としてまとめられたものです。これまで成人の年齢別・男女別の基準範囲が十分に整備されていなかった元素について、比較のための「ものさし」を整えました。

1万7千人規模の血清データから8元素の基準範囲を算出

研究では、2017~2020年に国内12施設で得られた19,845件の記録から、対象条件を満たさない記録や重複受検などを除いた10施設の成人17,523人を基本集団として解析を行いました。株式会社レナテックが提供するがんリスク評価目的の検査システム「メタロ・バランス」の開発・提供を通じて蓄積されたデータを用い、国立大学法人筑波大学が解析を担当しました。

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で測定した17元素のうち、比較指標が乏しかった以下の8元素が対象となりました。

  • コバルト
  • ヒ素
  • セレン
  • ルビジウム
  • ストロンチウム
  • モリブデン
  • 銀
  • セシウム

臨床検査の基準範囲に関する国際的な指針(CLSI EP28-A3c)を参考に、極端な値の統計学的処理やBox–Cox変換、2,000回のブートストラップ解析を実施し、集団の濃度分布の中央95%に相当する範囲を基準範囲として推定しました。採血年や施設による違いの差が全体として小さいことを確認した上で、20歳代から80歳以上までの7群について男女別にデータを整理しています。

環境医学や栄養状態把握を支える3つの活用目的

大規模データに基づいた微量元素の血清濃度基準範囲の設定は、公衆衛生や予防医学、環境モニタリングの観点から基礎資料として次の3つの目的に向けた活用が期待されています。

  1. 環境汚染と健康被害の早期発見:集団の一般的な濃度分布(ベースライン)を把握することで、水質や土壌の変化時に複数元素の濃度変化を検討可能とし、食事・健康情報と組み合わせて環境変化による健康影響の早期把握につなげる。
  2. 地域の土壌・食習慣による隠れた栄養障害の把握:土壌や食習慣、体内での吸収・利用・排泄の影響を考慮し、食生活の偏りやサプリメント利用による摂取量の変化が集団レベルでどのように現れるかを把握する手がかりとする。
  3. 基礎研究としてのデータ蓄積:微量元素の濃度バランスが体内の恒常性の変化を反映する可能性を検証し、加齢による骨密度の低下とストロンチウム濃度の関係を調べるなど、将来的なバイオマーカー活用に向けた基盤とする。

元素ごとにみられた年齢・性別の特徴と今後の課題

解析の結果、元素ごとに異なる特徴が確認されました。コバルトは全体として女性が男性より高い値を示し、女性の基準範囲の上限は20~49歳で高く、50~69歳で低い傾向がみられました。ヒ素やモリブデンは男女とも高齢群ほどおおむね高い傾向を示し、ルビジウムは高齢群ほどおおむね低い傾向が確認されています。ストロンチウムの上限は高齢群で高くなる傾向があり、特に70歳以上の女性で目立つ結果となりました。セレンは男性で比較的安定し、女性では60~69歳まで高くなった後に低下しました。銀とセシウムは高齢群で高い傾向がみられ、年代別のパターンには上昇と低下が混在していました。

なお、今回提示された基準範囲は任意検査の参加者集団における濃度分布を示したものであり、健康・病気や有害・無害を分ける境界ではなく、がんの判定精度を評価したものでもありません。今後は健康状態を詳しく確認した集団や地域構成の異なる集団での検証のほか、化学形態別の分析を組み合わせた健康影響の評価などが求められるとしています。

株式会社レナテックの概要

  • 社名:株式会社レナテック
  • 代表者:代表取締役 加藤桂
  • 本社所在地:神奈川県伊勢原市高森4丁目19−15
  • URL:https://www.renatech.net/

本記事は株式会社レナテックの発表をもとに作成しました。

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