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WWFの報告書で世界の野生生物個体群が73%減少、保全による回復事例も発表

WWFインターナショナルは2026年10月8日(木)、地球環境の豊かさを包括的に評価した報告書『生きている地球レポート2026(Living Planet Report 2026)』を発表しました。10月19日(月)よりアルメニアの首都エレバンで開催される生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)に先立ち、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)がその概要を明らかにしました。報告書によると、世界の生物多様性の豊かさを示す指標は過去52年間で大幅に減少している一方、継続的な保全活動により回復した生物種の事例も報告されています。

野生生物の個体群規模が52年間で平均73%減少

『生きている地球レポート』はWWFが1998年から発行している報告書で、地球の生物多様性の豊かさと健全性の変化を科学的データに基づいてまとめたものです。16回目の発行となる今回のレポートでは、生物多様性の豊かさを示す指標である「生きている地球指数(LPI:Living Planet Index)」が、1970年から2022年までの52年間で平均73%減少したことが示されました。

生態系別にみると、最も減少が大きかったのは淡水生態系で−85%を記録しました。続いて陸域生態系が−69%、海洋生態系が−59%となっています。

生態系を脅かす要因とシステム変革の必要性

モニタリング対象の野生生物個体群に影響を及ぼす最大の要因は生息地の消失と劣化であり、乱獲などの過剰利⽤、気候変動、汚染、侵略的外来種、疾病が続きます。これらの脅威の背後には、⾷料⽣産システム、エネルギーシステム、⾦融システムにおける構造的な機能不全があると指摘されています。

レポートでは、社会のあらゆる主体が参画し公正かつ包括的な移行が行われる場合に限り、これらシステムの変革が実現できるとしています。WWFインターナショナル事務局長のキルステン・スフェイト博士は、自然環境を損なっている産業やシステムそのものを変革し、すでに始まった変革を加速・拡大する必要性を挙げています。また、WWFジャパン自然保護室生物多様性政策グループ長の北出智美氏は、保全し回復させる活動にインセンティブが働く社会・経済システムへの転換の重要性を指摘しています。

レポートでは、長期的な保全活動が成果をあげた事例も紹介されています。絶滅のおそれの度合いはすべてIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに基づくものです。

  • トラ:世界の野生トラの個体数は2010年から2025年の間に70%以上増加し、約3,200頭から約5,700頭へと回復しました。国家レベルの計画やグローバル・タイガー・イニシアティブを通じた政府間協力、保護区の拡大などが実施されました。
  • クロマグロ:2010年までに大西洋クロマグロ個体群は80%減少し「絶滅危惧種(Endangered)」に、太平洋クロマグロは未利用時の資源量と比べわずか2%まで減少し「危急種(Vulnerable)」に選定されていました。ルールの策定や漁獲枠の削減合意などの取り組みを経て、現在は両種とも回復し重大な懸念のある種とはみなされなくなっています。
  • アフリカゾウ(サバンナゾウ):生息域全体では依然として減少傾向にあり「絶滅危惧種(Endangered)」に分類されているものの、住民が保全管理から直接利益を得られる法制度が整備されたアフリカ南部の一部では個体数が増加しています。
  • アオウミガメ:産卵のために上陸する約80カ国が50年間にわたり協調して対策を講じた結果、2025年にIUCNのレッドリストで「絶滅危惧種(Endangered)」から「低危険種(Least Concern)」へと区分が変更され、ウミガメ類で初めて「低危険種」となりました。

WWFについて

WWF(世界自然保護基金)の概要は以下の通りです。

  • 設立:1961年
  • 活動地域:100カ国以上
  • 活動内容:失われつつある生物多様性の豊かさの回復、地球温暖化防止など

本記事は公益財団法人世界自然保護基金ジャパンの発表をもとに作成しました。

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