AWL、工場向け自律安全確保AIの研究開発がGo-Tech事業に採択
北海道大学発認定スタートアップのAWL株式会社は、経済産業省・中小企業庁の「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」において、工場向け次世代型自律安全確保AIエージェントシステムの研究開発計画が採択され、2026年8月6日付で交付決定を受けた。

本事業は、事業管理機関を公益財団法人北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団)、従たる研究等実施機関を国立大学法人東北大学とし、2026年9月のキックオフから2029年3月までの3か年で実施される。株式会社デンソー北海道、トヨタ車体株式会社、菊池食品工業株式会社、株式会社テレビ北海道(TVh)の4社がアドバイザーとして参画し、大規模量産ラインから中小工場までを横断した検証が進められる。
製造現場における安全確保の課題と背景
国内製造業の労働災害による死傷者数は年間約2.7万人(厚生労働省 令和5年速報値)と全産業で最多水準にあり、重大事故は1件あたり数億円規模の損害につながる。現場では人手不足や熟練監視員の高齢化により24時間の目視監視体制の維持が困難になりつつあるほか、水蒸気や粉塵による誤報(False Alarm)やアラームファティーグ(警報疲れ)の発生、導入年代やメーカーが異なる設備の混在に伴うデータ統合コストなどが課題となっている。
また、国内約43万事業所の98%以上を占める中小規模の製造事業者では初期投資の負担が大きい点や、従来の監視体制では異常検知から人が確認して機械を止めるまでに数分を要し、その間に事故が発生するリスクがある点も挙げられている。
0.5秒以内で認識から制御までを完結させる研究開発
本事業では、AWL独自の汎用エッジAIプラットフォーム「AWL Engine」を高度化し、既存設備を改修せずに後付けできる形で、マルチセンサ統合・画像認識・機械制御を一体化した「次世代型自律安全確保AIエージェントシステム」の研究開発を行う。AIによる危険判定の結果をROS(Robot Operating System)経由で物理的な制御信号へ変換し、人の介在を待たずに安全停止・退避行動を実行することで、認識から制御までを0.5秒以内で完結させるエッジAI安全基盤の実現を目指す。
研究開発は以下の4つの柱で構成される。

- ユニバーサル・マルチセンサ統合エンジン:機器ごとの規格の違いを吸収し、既存の設備モニターや監視カメラの映像を後付けでデータ化。MQTT・OPC-UA等の主要産業用プロトコルを正規化データ統合バスに束ね、現場を横断して可視化する
- 現場文脈理解型の誤検知抑制アルゴリズム:映像と環境センサを同期させたマルチモーダル判定と時系列コンテキスト解析により、水蒸気・粉塵などの環境ノイズを識別。誤検知を大幅に抑制する
- Physical AI 自律防護連携:東北大学の知見を活用し、危険判定をROS命令へ即時変換する制御ミドルウェアを実装。国際機能安全規格 IEC 61508 に準拠したフェイルセーフ設計の妥当性を検証する
- 大規模・中小ハイブリッド実証:大規模量産ラインでのハイエンド実証と、中小工場での低コスト実証を並行し、多様な製造現場への適応性を検証する

なお、本文中の数値は本研究開発における目標値であり、製品の性能を保証するものではないとしている。
実施体制と今後のロードマップ
本事業では、システムの実装をAWLが担い、Physical AIの理論設計と安全性評価は国立大学法人東北大学(大学院工学研究科 教授 平田泰久)が主導する。アドバイザーとして参画する4社は現場要件に関する助言や実証フィールドの提供を行うが、製品の導入や採用を示すものではない。
研究開発は段階ゲート方式で進められる予定となっている。初年度(2026年度)はマルチセンサ統合エンジンの開発と現場要件定義、第2年度(2027年度)は実機を用いた誤検知抑制モデルの高度化とROS連携の実証、第3年度(2028年度)は軽量化・汎用化と機能安全の妥当性評価および商用パッケージングを行い、事業終了後の製品化・実用化につなげる計画だ。
AWL株式会社の概要
AWL株式会社は、国内の小売業を中心に累計16,000台超のエッジAIカメラを展開してきた実績を持つ企業である。
- 設立:2016年6月1日
- 代表者:代表取締役社長 兼 CEO 北出 宗治
- 所在地:【東京本社】東京都品川区西五反田2丁目24番4号 THE CROSS GOTANDA 8階 / 【札幌本社】北海道札幌市東区北8条東4丁目1-20
- 事業内容:エッジAI映像解析ソリューションの開発・提供
- URL:https://awl.co.jp
本記事はAWL株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



