エンカーマス、創業成長支援プログラム1stRoundの第15回支援先に採択
独自の超臨界・亜臨界流体技術を用いて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維の高品質回収を手掛ける株式会社エンカーマスは、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)が運営する大学・研究機関共催型創業成長支援プログラム「1stRound」の第15回支援先として採択された。同社は静岡大学と東京科学大学の研究成果を基に設立されたスタートアップで、資金支援や専門家によるサポートなどを通じ、初期の資金調達と初期顧客の獲得を目指す。

水平リサイクルを目指す技術と事業展開
株式会社エンカーマスは「廃品から、未来を創る」をビジョンに掲げ、2026年に創業したスタートアップだ。モビリティーの電動化や水素インフラの拡大に伴い、CFRPの廃棄量は2030年に世界で年間15万トン以上に達すると予測されている。既存の熱分解法では廃品を細かく裁断し高温で樹脂を取り除くため強度が低下し、安価な意匠材へのダウンサイクルが中心で大半が埋立処分されている課題があった。
これに対し、同社がコアとする静岡大学発の超臨界・亜臨界流体技術は、難分解性樹脂のみを選択的に溶解・分離できるクリーンなプロセスを特徴とする。繊維の劣化を抑えて長繊維や連続繊維として回収できるため、バージン材と同等の設計自由度で製品製造が可能となる。これにより、再利用が困難とされていたモビリティの構造材や圧力容器など、高度な強度が要求される領域への水平リサイクルを目指している。
今回の採択にあたっては、既存のリサイクル技術が抱えていた「長繊維」「低コスト」「高品質」の3点が評価された。
東大IPCのPrincipal (Investment)を務める川島 奈子 氏は、同社の技術が低コストで炭素繊維を長い状態で取り出し、高性能CFRPへの水平リサイクルを実現する点に言及し、リサイクルに革命を起こすことへの期待を寄せた。
株式会社エンカーマスの代表取締役社長である若口 明人 氏は、同社が科学技術振興機構(JST)早暁プログラム第一期の成果として設立された企業であるとした上で、支援を活用しながら「2030年までに試験生産工場での実証開始、2030年代前半には大量生産開始を目指すロードマップを着実に推進中」とコメントしている。

「1stRound」は、大学に関連する技術や着想の事業化および社会実装を支援する国内最大のアカデミア横断型創業成長支援プログラムだ。2017年に東京大学を母体とした「起業支援プログラム」としてスタートし、2019年に現在の名称に変更された。現在は国公立・私立大学や国立研究機関が参画するコンソーシアム形式で運営されている。
同プログラムでは、過去9年半で累計118チームを採択しており、過去採択チームの資金調達成功率は約90%、大型助成金の採択率は50%以上を達成している。また、各回とも半数を超えるチームがコーポレートパートナーを中心とする大手企業との協業に至っている。
概要情報
- 株式会社エンカーマス
本社:静岡県浜松市 代表取締役:若口 明人 URL:https://encarmas.co.jp/
- 東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)
本社:東京都文京区本郷 代表取締役社長:植田浩輔
- プログラム公式サイト
「1stRound」:https://www.1stround.jp

本記事は株式会社エンカーマスの発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



