ファイトケミカルプロダクツ、東北大発「イオン交換樹脂法」で資源循環社会の実現へ
ファイトケミカルプロダクツ株式会社は、東北大学発のイオン交換樹脂を用いたグリーン反応分離技術(イオン交換樹脂法)を活用し、未利用油資源から機能性素材やバイオ燃料を製造する事業の拡大を目指している。この度、昭和産業株式会社と個人投資家から総額5.08億円の資金調達を実施し、新工場の建設資金に充てる予定だ。これにより、同社の新工場建設に向けた資金調達の総額は5.4億円となった。
イオン交換樹脂法は、東北大学大学院工学研究科の北川尚美教授と廣森浩祐助教が開発した技術で、未利用油に含まれる機能性成分の分離回収と、油成分のバイオ燃料や機能性素材への変換を同時に行える反応分離技術である。この技術は、燃料、食品、医薬品の製造など幅広い用途に適用可能な基盤技術として注目を集めており、これまでに複数の賞を受賞している。
ファイトケミカルプロダクツ株式会社は、2020年7月から米ぬか由来の未利用油を原料とした機能性成分の製造を開始しており、スーパービタミンEやパラフィン、植物ステロール、バイオ燃料となる脂肪酸エステルを同時に製造するマルチ生産を実現している。また、2021年10月からはイオン交換樹脂法の技術ライセンス・エンジニアリング事業も開始し、未利用油資源の高付加価値化に取り組んでいる。
今回の資金調達により、同社は2025年以降の新工場稼働を目指し、イオン交換樹脂法の量産化技術の完成に注力する。また、昭和産業株式会社との資本業務提携を通じて、製品や技術の共同開発、ガバナンス体制の構築、販売強化など多角的な協力関係を構築し、事業拡大を加速させる方針だ。