阪神甲子園球場×モリサワ、伝統の「甲子園文字」をデジタル化

阪神甲子園球場と株式会社モリサワが、共同で「甲子園フォント」の制作を決定した。これは、阪神甲子園球場の開場100周年と、株式会社モリサワの創業100周年を記念した共同プロジェクトだ。

阪神甲子園球場のスコアボードでは、1983年まで職人が毛筆で手書きした文字が使用されていた。その独特な字形は「甲子園文字」として親しまれ、1984年にスコアボードが電光掲示に改修されてからも、その伝統は受け継がれてきた。今回のプロジェクトでは、株式会社モリサワが「甲子園文字」をデジタル化し、「甲子園フォント」として制作することになる。この新しいフォントは、読みやすさを重視したユニバーサルデザインフォントをベースにしている。

「甲子園フォント」の完成予定は2024年12月で、2025年シーズンから阪神甲子園球場のスコアボードで使用される予定だ。また、このプロジェクトを記念して、2024年4月17日に阪神甲子園球場で開催される阪神タイガースの公式戦で、株式会社モリサワの冠協賛試合が実施される予定だ。

株式会社モリサワは、1924年に創業者の森澤信夫が「邦文写真植字機」を発明し、日本の出版・広告・デザインの発展に大きく貢献した。その後も、オリジナル書体の開発や、日本語ポストスクリプトフォントの共同開発などを行い、日本のフォントメーカーとして歴史を紡いできた。現在では、社是として「文字を通じて社会に貢献する」を掲げ、2,000書体以上を搭載したフォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」などを展開している。

阪神甲子園球場と株式会社モリサワの共同プロジェクトは、伝統と革新を融合させた新たな試みだ。両者の100年の歴史と経験を活かし、新しい「甲子園フォント」がどのような形で甲子園の伝統を受け継ぎ、また新たな伝統を創り出すのか、その完成が待たれる。