養老の森が10周年、森と人を繋ぐ活動を展開、養老孟司氏が代表
一般社団法人 養老の森は、山梨県南都留郡道志村にある森林保全団体。代表理事は東京大学名誉教授の養老孟司氏が務める。今年で設立10周年を迎え、7月27日には養老氏と理事の藻谷浩介氏((株)日本総合研究所主席研究員)、柴咲コウ氏(俳優・歌手)による記念鼎談が開催された。
養老の森は、養老氏の提唱する「森に還る、街から山へ参勤交代」をテーマに活動している。子どもから大人まで自然を五感で感じる喜びを見出し、自然への適度な手入れを通して新たな暮らしを提案することを理念としている。
具体的な活動としては、森の間伐や植樹、伝統的な食生活や郷土芸能の復活、昆虫や動植物の調査・保護、2拠点生活の提唱などを行っている。日本の国土の約70%を占める森を健全に保ち、農山村の活性化を目指している。
10周年を機に、養老の森の現在地を確認し、これからの100年を見据えた節目の年となった。記念事業として、養老氏、藻谷氏、柴咲氏による鼎談を開催し、動画として限定公開。また、森の新たな施設として作業や散策の休憩に利用できる杣小屋(そまごや)や、イベントや舞台に使用できるステージと観客席を設置した。
さらに、ホームページを全面リニューアルし、森での活動紹介やイベント情報、ボランティア募集、支援の呼びかけなどを発信。YouTubeチャンネルも開設し、動画でも情報発信を行っている。
養老氏は「やがて自然の森になっていけばいいというだけで、特別のことをするつもりはありません。ただそうはいってもよい森、悪い森があるはずで、どんな風にするのが理想的なのか、これから皆さんと一緒に勉強していきたい」と語っている。
藻谷氏は「養老の森は、橋本駅から車で1時間少々とは思えない、深山幽谷の地。養老先生以下の老若男女が、杉林を天然林に戻す長い道筋のどこかにかかわりながら、ユルく楽しく活動しています」と魅力を伝えている。
柴咲氏は「森には様々な出会いとワクワクが詰まっている。五感を刺激される豊かな森が、人々の想いと行動で育まれているのだと思いました」と感想を述べている。
養老の森は、より多くの人に活動を知ってもらい、協力を得ながら、次代に想いを伝える森づくりを進めていく方針だ。