ispace、Asteroid Mining Corporationと月面探査で提携

株式会社ispaceは、ロンドンに拠点を置く宇宙ロボット企業であるAsteroid Mining Corporation(AMC)と将来の月面ミッションにおける探査ロボットの技術実証および月探査の実施に向けた月輸送サービスの提供に関する覚書を締結したと発表した。

この覚書は、将来的にispaceの月着陸船がAMCの宇宙ロボット「Space Capable Asteroid Robotic – Explorer(SCAR-E)」を月面に送り届けるというミッション構想を掲げ、そのための協力体制に合意するもので、AMCの将来の小惑星採掘に向けた技術実証を目的としている。

ispaceは、最速2024年12月に2度目の月面輸送ミッションとしてRESILIENCEランダー(月着陸船)を打ち上げる予定だが、以降も、米国と日本の法人主導で、新たに2種類のランダー開発も進めている。今後のミッション計画が合意され、資金が確保されれば、SCAR-Eロボットはispaceの将来のミッションに搭載される予定だ。

SCAR-Eは放射線、打ち上げ時の高加速、宇宙空間の極端な温度への耐性など宇宙環境に適応した設計となっており、地表を掴みながら歩行する特徴は微小重力環境下での対象を絞ったサンプリングと操作を可能にする。

ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めている。2024年冬に日本法人が主導するミッション2、続いて2026年には米国法人が主導するミッション3を順次実行していく計画だ。また、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション6を予定している。

ispaceの代表取締役CEOである袴田武史氏は、「本覚書の締結は、ispaceがイノベーターの皆様に月面での技術実証の機会を提供していることを示す新たな事例だ。当社のビジネスモデルの一環として、ispaceは技術実証を短期間で実現するための輸送サービスを提供することで、先駆的なプロジェクトを支援してまいります」とコメントしている。

一方、Asteroid Mining CorporationのCEOであるミッチ・ハンター スカリオン氏は、「今回の覚書締結は、英国を拠点とする企業初の月面ミッションとなり、歴史的な一歩だ。Asteroid Mining Corporationは、月面での事業を推進するアルテミス協定加盟国を支援する準備ができている。ispaceとの協業により、より多くの国や組織が新たな月市場に参入できるよう、包括的なミッションアーキテクチャを提供していきます。人類全体のために、シスルナ経済圏を共に開拓していきましょう」と述べている。

Asteroid Mining Corporationは、2016年に設立された宇宙ロボットの開発を行う企業で、宇宙資源探査機(SCAR-E)を東北大学と共同開発している。SCAR-Eは、宇宙資源探査を目的とした、六脚式のクライミングロボットで、海洋や再生可能エネルギーセクターを含む、地球上でも幅広い用途で使用できるという。

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