一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアムは、2025年日本国際博覧会（大阪・関西万博）の会場内で、視覚障がい者向けナビゲーションロボット「AIスーツケース」の実証実験を行うと発表した。

AIスーツケースは、視覚に障がいのある人を目的地まで自動で誘導するスーツケース型ロボットだ。これまでコンソーシアムと日本科学未来館が技術協力を行い、大型ショッピングモールや新千歳空港、未来館などの屋内施設や、未来館から最寄り駅までの屋外空間で、一般ユーザーによるナビゲーション技術の実証実験を実施してきた。今年4月からは、未来館で毎日定常的に試験運用を行い、人混みでの誘導や障害物の回避などのナビゲーション技術の向上に取り組んでいる。

大阪・関西万博では、「未来社会ショーケース事業」の「スマートモビリティ万博」領域において、会場内で次世代の様々なロボットを実装・実証する「ロボットエクスぺリエンス」の展開が計画されている。AIスーツケースは参加予定者の一つとして採用された。

未来館が中心となり、段差の乗り越え機能を強化した新車輪機構や、低位置の障害物も認識するセンサーを追加するなどの改良を重ねた屋内外共通利用型の万博特別モデルを開発する。コンソーシアムはこの特別モデルを用いて実証実験を行う計画だ。会場内で複数のAIスーツケースを長期間にわたり同時に運用することで、社会実装に向けた運用モデルの技術的な課題を洗い出すなどの検証を行う予定である。具体的な運用期間やエリアなどは、公益社団法人２０２５年日本国際博覧会協会と調整を進めていく。

コンソーシアムは、アルプスアルパイン株式会社、オムロン株式会社、清水建設株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社の4社が正会員として活動している。視覚障がい者の自立した移動を支援するAIスーツケースの万博での実証実験により、社会実装に向けた大きな一歩となることが期待される。