Smart相談室と一橋大学、国際会議BAM 2026で共同研究成果を発表
株式会社Smart相談室と国立大学法人一橋大学大学院経営管理研究科イノベーション研究センターは、人的資本開示に関わる次世代の経営管理・能力開発支援指標の開発および社会実装に向けた共同研究の成果を発表しました。2026年9月7日から11日にロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校で開催された国際会議「BAM 2026 Conference」において報告されました。
従来のワーク・ライフ・バランスの枠組みを再検証
上場企業の人的資本情報開示の義務化に伴い人的資本経営への関心が高まる一方、価値観の多様化などに伴い個人が抱える課題が企業の生産性向上を阻む要因となっています。株式会社Smart相談室と国立大学法人一橋大学大学院経営管理研究科イノベーション研究センターは、相談データと研究力を融合させた指標の開発を目指して共同研究を進めています。
発表テーマは「Reframing Work-Life Balance: Addressing Diverse Employee Needs in Japanese Organizations」(ワークライフバランスの再定義:日本の組織における多様な従業員ニーズへの対応)です。研究メンバーには、国立大学法人 一橋大学大学院 経営管理研究科 イノベーション研究センター センター長の軽部 大氏、株式会社Smart相談室 代表取締役・CEOの藤田 康男氏、慶應義塾大学 商学部 教授の内田 大輔氏が名を連ねています。
調査では、法人向け社外相談窓口サービス「Smart相談室」の利用者48名を対象に過去の相談内容に関するインタビューを実施し、質的分析手法(GTA/Gioiaメソッド)を用いて分析を行いました。
精神的不調から外部支援に至る5つのプロセス
分析の結果、従業員が精神的な不調を抱えて外部の支援を求めるに至るまでのプロセスとして、以下の連続した5つの要素が明らかになりました。
- 関係性の埋め込み:仕事と私生活は明確に分離できず、複数の相互に結びついた関係の中に埋め込まれており、従業員の悩みは孤立した問題として存在するわけではない。
- 関係性の飽和:仕事と家庭という単一の対立だけでなく、キャリア、育児、介護など、複数の要求が積み重なることで心理的負担が生じる。
- 心理的不調の認識:自身に生じた不調をメンタルヘルスの問題と早期に認識できず、「自らの努力不足」や「能力不足」といった個人的な欠陥と解釈してしまい、適切な対応や認識が遅れる。
- 相談の抑制:上司や同僚は支援者であると同時に評価者でもあるため、人事評価上の不利益や否定的な評価を恐れ、心理的な不調を早期に開示しにくい構造が存在する。
- 外部支援(EAP等)への信頼:組織の評価体系から構造的に中立な立場にある外部相談機関(EAP等)こそが、従業員が評価を気にせず本音を話すことができる安全な場として機能する。
今後の研究展開
研究では、ワーク・ライフ・バランスを「均衡」という静的な目的地と捉える従来の概念を改め、「継続的な関係性の再調整」という動的なプロセスとして再定義する必要性が示されました。組織には、メンタル不調の早期発見と継続的な調整を可能にする多層的な支援システムの構築が求められるとしています。

今後は得られた知見と仮説に基づき大規模な質問票調査を実施し、企業におけるメンタル不調の未然防止に重要な観点を抽出し、指標の開発および社会実装の加速を目指すとしています。

会社概要
- 社名:株式会社Smart相談室
- 代表取締役・CEO:藤田 康男
- 設立:2021年2月1日
- 所在地:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー
- 企業URL:https://corp.smart-sou.co.jp/
- 事業内容:企業向けオンライン対人支援プラットフォームの開発、運営
本記事は株式会社Smart相談室の発表をもとに作成しました。
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