富山大学とジャパン・メディカル・カンパニー、位置的斜頭症の共同研究成果を発表
富山大学附属病院周産母子センター長の吉田丈俊教授らと株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーによる共同研究の成果が、国際学術誌「The Journal of Craniofacial Surgery」に2026年7月23日、オンライン先行掲載された。
中等度〜重度の位置的斜頭症でヘルメット治療を完了した乳児の診療データを解析した結果、同じ乳児の扁平な側の頭蓋骨のCT値および頭皮血流が、反対側よりも低いことが確認された。治療後に追跡した一部の症例では、左右差の縮小が観察されている。
CT値と頭皮血流で扁平側の低値を確認
研究では、2023年1月から2025年8月に富山大学附属病院で頭蓋縫合早期癒合症との鑑別目的の低線量CTを受け、ヘルメット治療を完了した乳児61例を対象に単施設の後ろ向き観察研究を実施した。頭蓋骨のCT値は骨密度の代替指標として61例で測定し、頭皮血流はレーザードプラ法を用いて10例で測定された。
治療前の測定において、頭蓋骨のCT値(61例)は扁平な側が452.2 HU、反対側が653.2 HU(P < 0.001)となり、頭皮血流(10例)は扁平な側が14.9 mL/min/100 g、反対側が23.5 mL/min/100 g(P < 0.01)と、いずれも扁平な側で統計的に有意に低い値を示した。
追加の同意が得られ治療前後をCTで追跡した13例では、治療前のCT値(扁平側511.0 HU、反対側689.6 HU)が治療後には扁平側800.7 HU、反対側796.5 HUとなり、左右差は統計的に有意ではなくなった(P = 0.902)。頭皮血流を測定した10例においても、治療後の左右差は有意ではなくなった(P = 0.14)としている。
臨床現場の気づきから生まれた研究
位置的斜頭症は向き癖などの外力で乳児の頭部が左右非対称になる状態を指す。富山大学附属病院では、被ばくを抑えた低線量CTを頭蓋健診に導入しており、Sn(スズ)フィルタと反復再構成法を用いた撮影条件下で、単純X線2方向撮影0.011mSvに対し、低線量CT0.008 mSvの実効線量で骨縫合を描出できることを先行研究で報告している。
頭蓋縫合早期癒合症との鑑別診断の画像において、扁平な側の骨が薄く見える気づきから本研究へと発展した。なお、蓄積された撮影技術と運用の知見は三重中央医療センターへも共有され、同センターにおける低線量頭部CTの実装や頭蓋縫合早期癒合症の早期発見につながった事例も示されている。

吉田丈俊教授は、斜頭側で頭皮血流と頭蓋骨密度が低下しヘルメット治療後に左右差が縮小することを確認したとし、今後はカルシウムなどの元素動態も含めて機序を検討し、適切な診療や治療につなげたい旨のコメントを寄せている。
研究の範囲と留意点
本研究で測定された血流は頭皮のものであり、脳血流や頭蓋骨内部の血流、神経発達への影響を直接評価したものではない。また、CT値は骨密度の代替指標であり、骨の強度を直接測定した値ではない。
未治療群との比較が行われていないため、観察された変化を自然な成長とヘルメット治療の影響に分けて示したものではなく、仕組みは現段階で仮説としている。研究対象も治療を完了した中等度〜重度の症例に限られており、すべての乳児に一般化することはできず、個別の検査や治療の要否は医師の判断に基づくとしている。
本研究は、日本学術振興会の科学研究費助成事業・基盤研究(C)(課題番号:25K06073)および株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーの2025年度共同研究公募による資金提供を受けて実施された。資金提供者は研究デザイン、データ収集、解析、解釈、論文執筆に関与していない。

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーについて
- 社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
- 設立:2018年5月
- 代表取締役:大野秀晃
- 事業内容:医療機器・医療雑品の開発・製造・販売
- URL:https://japanmedicalcompany.co.jp
本記事は株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーの発表をもとに作成。
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