語学スクール市場の回復鈍く、リスキリングと海外留学がカギに

コロナ禍で縮小した語学スクール市場の回復が進んでいない。帝国データバンクが実施した「語学スクール」業界動向調査によると、2023年度の市場規模は1797億円で、ピークだった2019年度の約9割にとどまった。

背景には、2023年の日本人留学生数が2019年の83%にとどまるなど、円安や物価高の影響で渡航が抑制され、語学学習需要が鈍ったままであることがありそうだ。加えて、安価な学習アプリやSNSの充実も、スクール利用者の減少に拍車をかける懸念がある。

一方、語学スクールは利用目的の多様化に対応し、法人向けコースの開設やオンライン授業へのシフトを増加させている。AIによる分析やネイティブ講師との個別レッスン、学習アプリやサブスクリプションサービスとの併用など、新たな付加価値を提供する企業も見受けられる。

2023年度に損益が判明した約70社のうち、58.2%が黒字経営だった。高スキル人材の定着による顧客増加や、オンライン化に伴う運営コストの軽減が奏功した。一方、赤字企業では人件費や運営コストの高騰、同業者との競合激化で講師や顧客の獲得が困難となり、収益力が低下した。

今後は、10月から教育訓練給付金の給付率が最大80%に引き上げられる。この公的支援の手厚さがリスキリングを含めた学習機会の増加につながれば、市場規模は2019年度並みに回復するとみられる。コロナ禍からの回復が鈍い語学スクール市場だが、リスキリング需要の取り込みと海外留学の増加が、今後の成長のカギを握りそうだ。

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