ヌヴォトン、EIS機能搭載のバッテリ監視ICを2027年1月にサンプル提供へ
ヌヴォトン テクノロジーは、電気化学インピーダンス分光(EIS)機能を搭載した26セル対応バッテリ監視IC「KA85010UA」を開発し、2027年1月よりサンプル提供を開始します。独自のインダクタ方式を採用することで、EIS測定時の基板温度上昇を従来方式比で約93%低減しました。あわせてEIS解析アルゴリズムを提供し、自動車や蓄電システムにおけるバッテリの劣化診断やセル異常の予兆検知といった製品実装を支援します。
独自のインダクタ方式で発熱と電力損失を約93%低減
従来のEIS測定では、抵抗に数アンペアの電流を流す抵抗方式が用いられており、エネルギーが熱として失われる発熱や消費電力の増加が課題となっていました。
本製品は従来の抵抗方式に代わり、独自のインダクタ方式を採用しています。2つのスイッチ(FET)で電流方向を制御し、コイル(インダクタ)に蓄えたエネルギーを交流電流として循環させて測定用電流を生成することで、エネルギー損失を大幅に低減します。ヌヴォトン テクノロジーの評価では、従来の抵抗方式と比較して電力損失および基板の温度上昇を約93%低減できることを確認したとしています。この低消費電力・低発熱特性により、動作中・充電中・停止中など幅広い動作状態での安定したEIS測定データの取得を可能にします。
EIS測定機能の1チップ化で内部状態を定量化
本製品は、バッテリ監視機能とEISによるインピーダンス測定機能を1チップに搭載しています。交流電流を重畳した際の電圧・電流応答からインピーダンスを算出することで、従来は専用測定器が必要だったEIS測定をシステム上で実施可能にし、バッテリ内部状態の継続的な監視や診断を行えます。

周波数帯域ごとのインピーダンス特性から、高周波域では端子・配線・電解液、中周波域では負極、低周波域では正極の状態変化や内部反応を把握できます。これにより、従来の電圧・電流・温度測定だけでは難しかったSOH(劣化状態)や内部温度の推定、寿命予測、セル異常の予兆検知が可能となり、自動車や蓄電システム(Energy Storage System: ESS)の安全性向上に貢献するとしています。
なお、同社の特定評価条件下において、本製品による測定値と専用EIS測定器およびIEC 62620に規定された1kHz交流内部抵抗測定による測定値を比較し、高い整合性を確認した検証結果は、産総研グループとの共同研究成果としてIEEEの学術論文(https://doi.org/10.1109/TIM.2026.3661703)に掲載されています。


解析アルゴリズムの提供で早期立ち上げを支援

EISを活用したバッテリ診断では、インピーダンスデータの取得に加えてSOHや内部温度の推定、セル異常検知のための解析技術が必要です。
同社は自動車メーカーや研究機関との実証で培ったノウハウを活用し、EIS測定環境の構築からデータ取得・整理、推定や異常検知のための解析機能の実装、アプリケーションへの組み込みまでを一貫して支援する体制を整えています。これにより、EIS機能の導入を進める顧客の開発期間短縮を支援します。
製品仕様および企業概要
KA85010UAの主な仕様と対象用途は以下の通りです。
- 品番: KA85010UA
- 最大接続セル数: 26セル
- 主な機能: セル電圧・電流・温度測定、EIS測定
- EIS方式: インダクタ励起方式、直交検波によるV/I複素演算
- 電圧測定精度: ±2.0mV(EOL)
- 機能安全・品質: ISO 26262 ASIL-D対応、AEC-Q100対応
- 用途: 自動車(EV)、大規模エネルギー貯蔵システム(ESS)、リユースバッテリ診断システムなど
- サンプル提供開始: 2027年1月

本製品に関する問い合わせ先は以下の通りです。
- 報道内容: ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社 デジタルマーケティング部 PR・コミュニケーション課(NTCJ_PR@nuvoton.com)
- 技術内容: ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社 バッテリー・オートモーティブビジネスグループ マーケティング部(NTCJ_mkt_Battery_Analog@nuvoton.com)
本記事はヌヴォトン テクノロジーの発表をもとに作成されています。
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