フラクタル材料:「形」で機能を生み出す次世代高機能材料
アスタミューゼがフラクタル材料の動向分析レポートを発表 特許出願は中国が最多
CATEGORY: テクノロジー

アスタミューゼ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 永井歩)は、フラクタル材料に関する技術領域の動向をまとめたレポートを公開しました。同社が所有する論文や特許などのイノベーションデータベースを網羅的に分析したものです。
フラクタル材料は、図形の一部を拡大すると全体と相似な形状があらわれる自己相似構造を意図的に取り入れた材料です。数学的な図形(コッホ曲線、ヒルベルト曲線、シェルピンスキのガスケットやカーペット、メンガーのスポンジなど)や、自然界の構造(肺の構造、血管網、樹木の枝分かれ、デンドライトなど)を模倣した構造を表面や内部骨格に採用します。
限られた面積や体積の中に長い曲線や大きな表面積を持たせられるほか、大きさの異なる相似構造を階層的に配置して異なる物理条件に応答させることが可能です。これにより、広帯域の電磁波吸収、超親水性・超疎水性、触媒や電極活性の向上、軽量性と強度・安定性の両立などが期待されます。
同社によると、関連する技術や用途は以下の5領域に整理されます。

- 電磁波・光:電磁波吸収体や遮蔽材、フラクタルアンテナ、フォトニック結晶など
- 熱・流体:フラクタル流路を用いたデバイス液冷やマイクロ反応器、微小血管チップなど
- 表面改質:超疎水性、超親水性、防氷性、防汚性をもつ材料、高表面積の触媒など
- 構造体:軽量かつ高強度の構造材、振動や衝撃を吸収する材料、広帯域の吸音材や遮音材など
- エネルギー・センシング:燃料電池や二次電池向け電極、摩擦帯電型ナノ発電機など
特許キーワードに見る技術開発の進展

同社が保有するデータベースから、2011年以降に出願されタイトルおよび要約に「フラクタル(fractal)」「自己相似(self-similar)」などのキーワードを含む特許514件を抽出し、未来推定分析を実施しました。
近年は「勾配(gradient)」「フラクタル曲線(curve)」「シミュレーション(simulation)」といった構造設計に関連する語が頻繁に出現しています。微細加工技術の進展を背景に、精密な形状作製と応答制御の技術開発が進んでいることがうかがえます。
また、用途面では「超疎水性の(super-hydrophobic)」「自己修復型の(self-repairing)」「マイクロチャネル (micro-channel)」「電磁吸収体(absorber)」などが近年出現しており、電子機器の高密度化や発熱量増加への対応に関連すると考えられています。
国別の特許出願動向
出願先別の特許出願件数では、長期的な増加傾向が見られる中国が最も多く、米国、国際出願、欧州、日本が続いています(出願から公開までのタイムラグがあるため、2025年の集計値は参考値)。
中国では五カ年計画においてハイエンド新材料産業への注力方針を掲げており、「構造機能一体型材料」が挙げられていることや、EMC対策・データセンタの熱管理需要が開発を促している可能性があるとされています。一方、米国、欧州、日本の出願件数は2020年代以降伸び悩んでおり、開発の重心が個別製品への実装へ移行しつつある可能性が指摘されています。
本記事はアスタミューゼ株式会社の発表をもとに作成しました。
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